この制度の実務 北九州市事業承継・M&A促進化助成金を申請する前に押さえること 北九州市事業承継・M&A促進化助成金で何ができるか 事業承継を「譲る側」として進めている北九州市内の中小企業が、専門家に委託して行う課題分析・企業価値算定・事業承継計画策定・M&A仲介といった取り組みに対して、費用の一部を助成する制度です。
対象になる取り組みは、実施機関が示している四つの柱に整理できます。(1)事業承継に向けた課題分析、(2)企業価値の算定、(3)事業承継計画の策定、(4)M&Aの仲介委託です。これらを専門事業者に外注した際の委託費用が助成対象となります。
上限は50万円、補助率は対象経費の2分の1以内です(2026年9月14日時点)。たとえば対象経費が100万円であれば50万円が上限となり、80万円であれば40万円が助成されます。
重要なのは「譲り手側」に限定されている点です。M&Aで買い手となる企業は対象外ですので、立場を事前に明確にしてください。また、後継者が北九州市内で事業を継続する予定であることが条件になっています。
対象になる経費・ならない経費 助成対象となるのは、専門事業者への委託費用です。具体的には課題分析費、企業価値算定費、事業承継計画策定費、M&A仲介委託費が該当します。
専門事業者の要件が厳格に定められており、中小企業庁のM&A支援機関登録制度に登録されている支援機関でなければなりません。登録されていない事業者への支払いは、対象経費として認められない可能性が高いため、委託先を選定する段階で登録の有無を必ず確認してください。登録機関の一覧は中小企業庁のウェブサイトで公開されています。
対象外となる経費の具体的な区分は、根拠データの範囲では確認できません。自社従業員の人件費・交通費・印刷費など内製コストが対象外となるのが一般的ですが、詳細は公募要領で確認してください。
なお、交付決定前に締結した委託契約に基づく支出は助成対象から外れます。委託契約の締結は必ず交付決定後に行う必要があります。この順序を逆にすると、支出済みの費用が全額対象外になりますので注意が必要です。
申請の要件と必要な書類 申請にあたって確認すべき要件は次のとおりです。
【対象者要件】
北九州市内に本社および事業所を有する中小企業者であること。事業承継後も後継者が市内で事業を営む予定であること。M&Aにおける譲り手側であること(買い手側は対象外)。交付は1事業者1回限りです。
【手続き上の要件】
申請前に、中小企業支援センターまたは北九州商工会議所の事業承継相談窓口を通じて、福岡県事業承継・引継ぎ支援センターの専門相談員の支援を受けることが必須です。この相談を受けていない状態では申請できません。
申請は専門事業者との委託契約締結前に行わなければなりません。委託契約を先に結んだ場合、申請自体が受け付けられないか、その費用が対象外となります。
【提出書類】
具体的な提出書類の一覧は根拠データの範囲では確認できません。一般的には会社の登記事項証明書・事業承継計画の概要・専門相談員との相談実績を示す書類などが求められる可能性がありますが、詳細は公募要領で確認してください。
申請から入金までの流れ 申請から入金までの順序は厳守が求められます。順序を間違えると費用が対象外になります。
【ステップ1】事業承継相談窓口で相談を受ける
中小企業支援センターまたは北九州商工会議所の窓口を通じて、福岡県事業承継・引継ぎ支援センターの専門相談員の支援を受けます。この手順が申請の前提条件です。先に進む前に必ず完了させてください。
【ステップ2】申請書を提出する
北九州市産業経済局地域経済振興部中小企業振興課へ申請書を提出します。受付期間は2026年5月1日〜2027年2月26日の随時受付ですが、予算の都合で年度途中に受付が終了する場合があります。早期の申請を推奨します。
【ステップ3】交付決定を受ける
市から交付決定の通知を受け取ります。この通知が届くまで、専門事業者との委託契約は締結しないでください。
【ステップ4】専門事業者と委託契約を締結・業務実施
交付決定後に委託契約を締結し、課題分析・企業価値算定・事業承継計画策定・M&A仲介等の業務を実施します。
【ステップ5】実績報告・請求・入金
業務完了後に実績報告を行い、助成金を請求します。入金時期の詳細は公募要領で確認してください。
ここで落ちる・ここで詰まる この制度で申請が通らない、または後から費用が認められないケースとして、根拠データから特定できる落とし穴を挙げます。
【最大の失格リスク:順序の誤り】
委託契約を先に結んでから申請するケースが最も多い失格パターンです。「相談 → 申請 → 交付決定 → 契約締結」の順序は絶対に変えられません。専門事業者から「先に契約してから申請すればいい」と言われても従わないでください。
【専門相談員の支援未取得】
申請前に福岡県事業承継・引継ぎ支援センターの専門相談員の支援を受けていない場合、申請要件を満たしません。この相談の実績を証明する書類が必要になる可能性があります。事前に相談窓口に問い合わせ、記録が残る形で相談を受けてください。
【委託先が登録支援機関でない】
M&A支援機関登録制度への登録がない事業者への委託費は対象外です。委託先の登録状況を契約前に中小企業庁のリストで確認してください。
【予算切れによる受付終了】
随時受付ですが、予算が尽きた時点で年度途中に受付が終了します。申請を先延ばしにすると受付期間内でも対象外になる可能性があります。
【買い手側での申請】
M&Aの買い手側の企業が申請することはできません。立場が「譲り手」であることを申請書類で明確に示す必要があります。
北九州市事業承継・M&A促進化助成金のよくある質問Q. M&Aの仲介会社はどこでもよいですか? A. いいえ。中小企業庁のM&A支援機関登録制度に登録されている支援機関に限られます。登録されていない仲介会社への委託費は助成対象になりません。委託先を選定する段階で、中小企業庁が公開している登録機関リストで必ず確認してください。
Q. 相談窓口はどこに行けばよいですか? A. 中小企業支援センターまたは北九州商工会議所の事業承継相談窓口が窓口です。そこを通じて福岡県事業承継・引継ぎ支援センターの専門相談員の支援を受けることが申請前の必須手続きです。直接センターに問い合わせるのではなく、上記いずれかの窓口経由で手続きを進めてください。
Q. すでに後継者候補と話が進んでいますが、今から申請できますか? A. 専門事業者との委託契約をまだ締結していない段階であれば申請できます。ただし、申請前に専門相談員の支援を受けていることが条件です。相談未受講であれば先に相談窓口へ連絡してください。なお、交付は1事業者1回限りのため、過去に本助成金を受けた場合は対象外となります。
Q. 申請はいつまでに出せばよいですか? A. 2026年9月14日時点では令和8年度の受付が2027年2月26日まで続いています。ただし予算の都合で年度途中に受付が終了する場合があります。申請を検討しているのであれば、早期に手続きを進めることを推奨します。申請前に北九州市中小企業振興課へ受付状況を確認してください。
この解説は2026年9月14日時点の公募要領・掲載データにもとづきます。 申請前に必ず最新の公募要領で確認してください。