補助金でAIは導入できる?対象になる制度と経費の線引き
結論から言うと、できます。2026年度にはIT導入補助金が「デジタル化・AI導入補助金」へ 名称変更され、制度の名前にAIが入りました。ただし、どの制度でも自由にAIを買えるわけではありません。 対象になる制度と、対象になる経費・ならない経費を整理します。
先に押さえる3点
- 制度を先に決める。ツールを決めてから制度を探すと、対象外だと分かった時点で詰む。
- 契約は交付決定のあと。先に発注した費用は原則見てもらえない。
- 数字で書く。「効率化します」ではなく「月40時間の入力作業が10時間になる」。
AI・システムの導入費が対象になりうる制度
上限額・補助率・対象経費は公募回ごとに変わります。必ず各制度の最新の公募要領で確認してください。
2026年度に「デジタル化・AI導入補助金」へ名称が変わり、制度の名前そのものにAIが入った。ソフトウェアの導入費が補助の本体で、AIツールの導入と最も相性がよい。
注意:あらかじめ登録されたITツールを、登録された支援事業者を通じて導入する仕組み。登録外のツールや、自社で自由に作るシステムはそのままでは対象にならない。
人手不足の解消が目的の制度。カタログに載った省力化製品を選ぶ類型のほかに、自社に合わせて作り込む類型があり、後者ではシステム開発が対象になりうる。
注意:「省力化=人が減る・時間が減る」ことを数字で示せるかがすべて。効率化の実感だけでは通らない。
革新的な製品・サービスや生産プロセスの改善が対象。設備の制度と思われがちだが、システム構築費が対象経費に含まれる枠がある。
注意:主役はあくまで事業の革新性。AIを入れること自体が目的の計画は評価されにくい。
新しい分野へ踏み出すための制度。新事業に必要なシステムの構築費を含められる。金額規模が大きく、基盤ごと作るような投資に向く。
注意:既存事業の効率化には使えない。あくまで「新しく始めること」が要る。
小規模事業者向け。販路開拓が目的で、ウェブサイト関連費として制作やツール導入を含められる。金額は小さいが最初の一歩として使いやすい。
注意:ウェブサイト関連費は補助金額全体に対する上限が別に定められており、これ単独では申請できない回がある。
対象になる経費・ならない経費
- AIツール・SaaSの導入費用(制度が定める期間分)
- 自社の業務に合わせて作るシステムの開発費
- 導入にともなう設定・データ移行・初期研修の費用
- システムと一体で動かすために必要なハードウェア
- 申請より前に契約・発注してしまった分の費用
- 汎用パソコン・タブレットなど、その事業以外にも使えるもの
- 毎月の通信費や、補助期間を超える先の利用料
- 社内の人件費(自社で作った場合の自分たちの工数)
- 「AIを導入すること」自体が目的で、事業の課題と結びついていない計画
※ 制度共通の考え方です。実際の可否は各制度の公募要領の「補助対象経費」で判断してください。
AI導入の計画が落ちる4つの理由
「効率化する」「便利になる」では審査に届かない。どの作業に月何時間かかっていて、導入後に何時間になるのか。その根拠は何か。ここが書けているかで採否が分かれる。
補助金は原則、交付決定より前に発注した費用を見ない。良い提案を受けて先に契約すると、その時点で対象外が確定する。順番を逆にしないこと。
省力化の制度に「売上を伸ばします」と書く、新事業の制度に「既存業務を効率化します」と書く。制度ごとに聞かれていることが違う。同じ計画書を使い回すと落ちる。
導入して終わりの計画は評価されない。誰が使い続けるのか、どう定着させるのかまで書く。実績報告でも同じことを問われる。
補助金が通っても、入れたAIが使われなければ効果は出ません。同じ運営元が 自社でAIを動かした実測と失敗の記録をAIの鬼「失敗の鬼」に公開しています(実行0通・処理414件の失敗など、実際に起きたことだけ)。 計画書に「導入後どう回すか」を書く前の材料になります。
よくある質問
A. 制度によります。デジタル化・AI導入補助金は、あらかじめ登録されたITツールを登録支援事業者を通じて導入する仕組みのため、登録されていないサービスを自由に契約しても対象になりません。一方、自社の業務に合わせてシステムを作る場合は、ものづくり補助金や省力化投資補助金など別の制度でシステム構築費として申請できる可能性があります。どの制度を使うかで対象範囲が変わるため、契約より先に制度を決めてください。
A. されません。補助金は「AIを入れること」ではなく「その事業がどう良くなるか」を審査します。どの業務にどれだけ時間や人手がかかっていて、導入後にどう変わるのかを数字で示せるかが採否を分けます。AIは手段であって、計画の主役ではありません。
A. はい。補助金は原則として交付決定より前に契約・発注した費用を対象としません。先に開発会社と契約してしまうと、その費用は補助の対象外になります。見積りを取るところまでは先に進めて構いませんが、契約は交付決定を待ってください。
A. 一般的に、自社の人件費は補助対象外とされる制度がほとんどです。外部に発注した費用が対象になります。詳細は各制度の公募要領で必ず確認してください。
まとめ
AIやシステムの導入費は、複数の補助金で対象になりえます。ただし通るかどうかを決めるのは ツールの新しさではなく、いまの業務のどこが詰まっていて、 導入後にどれだけ変わるのかを数字で説明できているかです。 そして順番を間違えないこと。制度を決める → 申請する → 交付決定 → 契約、この順です。 先に契約すると、その費用は戻ってきません。