海外侵害対策支援事業の次回公募はいつ?申請要件と準備の進め方
結論
- 中小企業等海外侵害対策支援事業(実施機関:JETRO)は、海外での模倣品被害や産業財産権に係る係争の対抗措置費用を助成する制度です。上限500万円、補助率2/3。
- 次回公募の具体的な開始日・締切日は、2026年7月20日時点でJETRO公式サイト上に公表されていません。「年度内に締切設定(予算がなくなり次第終了)」という運用のため、日程は必ず公式サイトの最新の公募要領で確認してください。
- 公募要領が公表されてから準備を始めると間に合わない可能性があるため、証拠資料・見積書・グループ要件の確認など、公表前にできる準備を先に済ませておくことが実務上の要諦です。
1. 制度の全体像を正確に押さえる
中小企業等海外侵害対策支援事業は、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)が実施している助成制度です。海外で模倣品被害に遭った、あるいは産業財産権(特許権・商標権・意匠権など)に関する係争に巻き込まれた中小企業等に対し、侵害への対抗措置にかかる費用の一部を助成する仕組みになっています。
対象となるのは、中小企業単体での申請に加え、中小企業者が構成員の2/3以上を占めるグループでの申請も可能です。海外展開している企業が現地で模倣品を発見した場合や、現地の権利者から警告を受けて対応が必要になった場合など、単独の企業では負担が重い法的対抗コストを支援する制度と位置づけられます。
なお、本事業とは別枠で「冒認商標無効・取消係争支援事業」も実施されています。これは、海外で第三者が自社ブランドを先に商標登録してしまった(冒認出願された)ケースについて、その商標の無効・取消しを求める係争を支援する事業です。自社の状況がどちらの事業に該当するか、あるいは両方に該当し得るかは、JETROの窓口で個別に確認することをお勧めします。
2. 次回公募はいつか — 現時点で分かっていること
結論から言うと、次回公募の開始時期・締切日について、2026年7月20日時点でJETRO公式サイト(https://www.jetro.go.jp/services/ip_service_overseas.html)上に具体的な日程は掲載されていません。この記事では、確認できない日程を推測で書くことはしません。
本制度の公募時期に関する公式な記載は「年度内に締切設定(予算がなくなり次第終了)」というものです。これは、年度当初にあらかじめ予算枠が確保され、申請の受付・審査を経て予算に達した時点で、その年度の公募が打ち切られる方式であることを意味します。単発の締切が1回だけ設定される制度とは異なり、年度内に複数回の締切が設定される可能性がある点、そして「予算がなくなり次第終了」という表現が示す通り、後の回になるほど予算残に余裕がなくなるリスクがある点は、実務上押さえておくべき特徴です。
一般的に、予算消化型の運用を取る公募型の助成制度では、年度後半に近づくほど採択枠が縮小する傾向が見られる制度が少なくありません。本制度についてもこの一般的な特性が当てはまる可能性はありますが、これは制度設計上の一般論であって、本制度の過去の公募実績データに基づく断定ではない点にご留意ください。次回公募の正確な時期・回次・予算残については、必ずJETRO公式サイトの最新の公募要領を確認してください。
3. 対象者要件を確認する
対象者要件は次の2パターンです。
- 中小企業単体での申請
- 中小企業者が構成員の2/3以上を占めるグループでの申請
グループで申請する場合に実務上つまずきやすいのが、「構成員の2/3以上」という要件の数え方です。例えば構成員が6社であれば、そのうち4社以上が中小企業者である必要があります。構成員に大企業や海外法人が含まれる場合、その扱いによって2/3要件を満たすかどうかが変わってくるため、グループ申請を検討している場合は、構成員リストを確定させる前の段階で、この要件を満たす構成になっているかを必ず確認してください。
また、「中小企業」の定義は業種によって資本金基準・従業員数基準が異なります。自社が中小企業基本法上の中小企業者に該当するかどうかを、業種区分に照らして確認しておくことが、申請要件確認の出発点になります。
4. 助成金額・補助率と制度の基本情報
助成の枠組みは以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 中小企業等海外侵害対策支援事業 |
| 実施機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO) |
| 対象者 | 中小企業、または中小企業者が2/3以上を占めるグループ |
| 上限額 | 500万円 |
| 補助率 | 2/3 |
| 公募時期 | 年度内に締切設定(予算がなくなり次第終了)。次回日程は2026年7月20日時点で未公表 |
| 公式URL | https://www.jetro.go.jp/services/ip_service_overseas.html |
補助率が2/3であることから、助成金額の上限500万円を満たすためには、対抗措置にかかる費用の総額が750万円程度必要になる計算になります。自社が想定している対抗措置(訴訟費用、現地代理人費用、鑑定費用など)の総額を試算し、上限額との関係でどの程度が自己負担になるかを、申請を検討する段階で把握しておくべきです。
5. 対象となる侵害対策の内容
本制度が想定する「侵害対策の対抗措置」には、一般的に次のような費用が含まれ得ます。
- 海外での模倣品被害に対する法的措置(警告・差止請求・訴訟など)にかかる費用
- 産業財産権(特許権・商標権・意匠権等)に係る係争における対抗措置費用
- 現地弁護士・弁理士など専門家への相談・依頼費用
これらの費用のうち、具体的にどこまでが助成対象になるかは案件ごとに異なるため、自社が想定している対抗措置が対象経費に該当するかどうかは、公募要領の対象経費の記載を確認するか、JETROの窓口に事前相談することを強く勧めます。対象経費の解釈を誤ったまま申請書を作成すると、審査段階で経費区分の説明を求められたり、交付決定後に減額査定を受けたりするリスクがあります。
6. 申請前に準備すべき書類・証拠
公募要領が公表されてから慌てて資料を集め始めるのではなく、以下の資料は公表前から準備を進めておくことが可能です。
- 侵害の事実を示す証拠:現地での模倣品の購入記録・写真・現物、模倣品と自社製品の比較資料、鑑定書など
- 産業財産権の登録状況を示す書類:現地および国内での商標権・特許権・意匠権の登録証、出願番号が分かる書類
- 対抗措置の実施計画:どのような法的措置を、いつ、誰(現地代理人・弁護士)に依頼して実施するかの計画書
- 専門家からの見積書:現地弁護士・弁理士等からの費用見積り。助成金額の算定根拠になるため、具体的な金額が入ったものを用意する
- グループ申請の場合は構成員の中小企業該当性を示す資料:資本金・従業員数が分かる登記事項証明書や決算書など
これらは公募要領の公表を待たずに準備できる項目です。特に見積書は取得までに時間がかかることが多いため、対抗措置の方針が固まった時点で、現地専門家への見積依頼を先行させておくことをお勧めします。
7. 申請までのスケジュールの組み方
公募開始から締切までの期間は、制度によって数週間程度に設定されるケースが少なくありません。本制度についても、公募要領が公表されてから準備を始めたのでは間に合わない可能性を念頭に置き、逆算でスケジュールを組んでおくことが現実的な対応です。
具体的には、次のような順序で準備を進めることをお勧めします。
- 自社の被害・係争状況を整理し、対抗措置の方針を固める
- 現地弁護士・弁理士等の専門家に相談し、見積書を取得する
- 産業財産権の登録状況、侵害の証拠資料を整理する
- グループ申請の場合は構成員の中小企業該当性を確認し、必要書類を収集する
- JETRO公式サイトを定期的に確認し、公募要領の公表を待つ
- 公募要領が公表されたら、対象経費・提出書類・様式を確認し、申請書を作成する
- 締切前に余裕を持って提出する(予算がなくなり次第終了する運用のため、締切ぎりぎりの提出は避ける)
特に7の点は重要です。「予算がなくなり次第終了」という運用である以上、公式な締切日まで余裕があるように見えても、予算の消化状況によっては早期に受付が終了する可能性があります。公募要領が公表されたら、できるだけ早い段階での提出を検討してください。
8. 申請書作成の実務ポイント
申請書を作成する際に、審査上のポイントになりやすい点を整理します。
- 被害・係争の事実と対抗措置の必要性の因果関係を明確にする:模倣品被害や係争の発生事実と、申請する対抗措置がなぜ必要なのかを、証拠に基づいて具体的に記述する
- 費用の妥当性を示す:見積書の金額が、想定している対抗措置の内容に対して妥当であることが分かるよう、見積内訳を明確にしておく
- グループ申請の場合は持分要件を書類上明確にする:構成員が2/3以上中小企業者であることを、登記事項証明書等の添付書類で明確に示す
- 助成対象経費と対象外経費を区別する:想定している費用の中に対象外経費が含まれていないか、公募要領の経費区分に照らして事前に整理しておく
これらは審査における加点要素というより、記載不備・書類不足による差し戻しや、経費区分の誤りによる減額を防ぐための基本的な確認事項です。申請書を提出する前に、社内でこれらの点をチェックリスト化して確認することをお勧めします。
9. JETROへの事前相談を活用する
公募要領が公表される前であっても、JETROの知的財産権関連の相談窓口に問い合わせること自体は可能です。自社が想定している被害・係争の内容が本制度の対象になり得るか、冒認商標無効・取消係争支援事業とどちらが適切か、対象経費の範囲はどこまでかといった疑問は、公式サイトの記載だけでは判断がつかないケースが少なくありません。
特に次の3点は、申請書作成に入る前に窓口で確認しておく価値があります。
- 想定している対抗措置の費用が、対象経費に含まれるかどうか
- グループ申請を検討している場合、構成員の中小企業該当性の判定方法
- 中小企業等海外侵害対策支援事業と冒認商標無効・取消係争支援事業のどちらに該当するか、あるいは両方に該当し得るか
事前相談で疑問点を解消しておくことで、公募要領が公表されてから申請書を作成するまでの期間を短縮でき、締切に対して余裕を持った提出につながります。
10. 2つの海外知財支援事業の違いを整理する
本制度と混同されやすいのが、冒認商標無効・取消係争支援事業です。両者は実施機関(JETRO)こそ共通していますが、想定しているトラブルの性質が異なります。
| 比較項目 | 中小企業等海外侵害対策支援事業 | 冒認商標無効・取消係争支援事業 |
|---|---|---|
| 想定するトラブル | 海外での模倣品被害、産業財産権に係る係争 | 第三者による自社ブランドの冒認出願(先取り登録) |
| 助成の対象 | 侵害への対抗措置費用 | 冒認商標の無効・取消しを求める係争費用 |
| 実施機関 | JETRO | JETRO |
| 上限額・補助率 | 上限500万円・補助率2/3 | 公募要領で別途確認が必要 |
自社のトラブルが「模倣品を作られた・権利侵害で訴えられた」というものであれば本制度、「自社ブランドを海外で先に商標登録されてしまった」というものであれば冒認商標無効・取消係争支援事業が候補になります。どちらに該当するか判断がつかない場合は、前章の事前相談窓口で確認することをお勧めします。
11. まとめ
中小企業等海外侵害対策支援事業は、海外での模倣品被害や産業財産権に係る係争の対抗措置費用を、上限500万円・補助率2/3で助成する制度です。次回公募の具体的な日程は2026年7月20日時点で未公表であり、この記事でも推測での日程は記載していません。日程は必ずJETRO公式サイトの最新の公募要領で確認してください。
一方で、公募要領の公表を待たずにできる準備は数多くあります。侵害の証拠資料の整理、産業財産権登録状況の確認、専門家からの見積取得、グループ申請の場合の構成員要件確認など、いずれも時間のかかる作業です。「年度内に締切設定(予算がなくなり次第終了)」という運用である以上、公募開始後に準備を始めるのではなく、今の時点から準備を進めておくことが、採択の可能性を左右する実務上の分かれ目になります。
よくある質問
Q. 海外侵害対策支援事業の次回公募はいつ始まりますか。
A. 2026年7月20日時点でJETRO公式サイト上に次回公募の具体的な開始日・締切日は公表されていません。「年度内に締切設定(予算がなくなり次第終了)」という運用のため、日程は必ずJETRO公式サイトの最新の公募要領で確認してください。
Q. 助成金額の上限と補助率はどのくらいですか。
A. 上限額は500万円、補助率は2/3です。上限額を満たすためには、対抗措置にかかる費用の総額がおおむね750万円程度必要になる計算になります。詳細な対象経費の範囲は公募要領で確認してください。
Q. グループで申請することはできますか。
A. 可能です。対象者は中小企業単体のほか、中小企業者が構成員の2/3以上を占めるグループも申請できます。構成員の中小企業該当性を示す資料をあらかじめ準備しておくことをお勧めします。
Q. 冒認商標無効・取消係争支援事業との違いは何ですか。
A. 中小企業等海外侵害対策支援事業は模倣品被害や産業財産権に係る係争への対抗措置を助成する事業です。一方、冒認商標無効・取消係争支援事業は第三者による自社ブランドの冒認出願への対抗を助成する別枠の事業です。
この記事で取り上げている制度
上限額・補助率・締切・公式の公募要領へのリンクは、それぞれの制度ページにまとめています。
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