補助金の加点項目一覧|認定・宣言まとめ
結論
補助金の審査では、事業計画の内容が同水準の場合、加点項目の有無が採択・不採択を分けることがあります。加点項目には申請書に記載するだけで済むものと、事前に外部の認定・宣言を取得しておく必要があるものがあり、後者は取得までに数週間〜数か月かかります。加点項目は「取得すれば必ず採択される」ものではありませんが、同点勝負になったときの差になり得るため、申請したい公募回から逆算して着手時期を決めることが重要です。
加点項目は公募回ごとに変わる
加点項目の種類や配点は、補助金の種類だけでなく公募回によっても見直されます。本記事の項目は2026年7月時点で複数の補助金で広く採用されている代表的なものですが、実際に申請する際は必ずその回の公募要領で対象項目を確認してください。同じ制度でも前回の公募と今回の公募で加点項目の構成が変わっていることは珍しくなく、「前回は加点になったから今回も同じはず」という思い込みで確認を怠ると、想定していた加点が反映されないまま申請してしまうことになります。公募要領は原則として公募開始と同時に公開されるため、加点取得を検討している場合は要領の公開直後に対象項目と配点の有無を確認する動きが欠かせません。
主な加点項目一覧
| 加点項目 | 概要 | 取得までの目安 |
|---|---|---|
| パートナーシップ構築宣言 | 取引方針を代表者名で宣言・公表する取り組み | ポータルで登録すれば即日〜数日 |
| 経営革新計画 | 中期の経営計画を策定し都道府県知事の承認を受ける | 承認まで数か月かかることがある |
| 事業継続力強化計画 | 防災・減災対策を策定し経済産業大臣の認定を受ける | 申請から認定まで目安約45日 |
| 賃上げ加点 | 給与支給総額の引き上げ計画を事業計画に盛り込む | 申請書内での計画記載で対応 |
| DX認定 | デジタルガバナンス・コードに基づく認定制度 | 一定の審査期間を要する |
| 健康経営優良法人認定 | 従業員の健康管理を経営的視点で実践する法人の認定 | 年1回の申請サイクル |
| くるみん・えるぼし認定 | 子育て支援・女性活躍推進に関する厚労省の認定 | 認定基準充足後の申請・審査に期間を要する |
加点項目ごとの申請先・窓口の違い
加点項目は「どこに申請・登録するか」が項目ごとに異なります。窓口を誤解したまま準備を進めると、締切間際になって申請先が違うことに気づき、間に合わなくなることがあります。
| 加点項目 | 主な申請・登録先 |
|---|---|
| パートナーシップ構築宣言 | 専用ポータルサイト(オンライン登録) |
| 経営革新計画 | 都道府県(本社所在地を管轄する担当窓口) |
| 事業継続力強化計画 | 経済産業省(地方経済産業局を通じた申請) |
| 賃上げ加点 | 申請先は補助金事務局。書類は事業計画内に記載 |
| DX認定 | 経済産業省・情報処理推進機構(IPA)関連の認定制度 |
| 健康経営優良法人認定 | 経済産業省が関与する認定制度(申請は年1回のサイクル) |
| くるみん・えるぼし認定 | 都道府県労働局(厚生労働省所管の認定制度) |
自治体が窓口になる項目(経営革新計画など)は、都道府県ごとに相談の受付方法や必要書類の様式が異なる場合があるため、初めて申請する場合は早めに担当窓口へ問い合わせておくと手戻りを防げます。
取得優先度の考え方
1. パートナーシップ構築宣言(着手のハードルが低い)
審査や認定を必要とせず、ポータルサイトでの手続きのみで完結します。取引先との関係を明文化する取り組みでもあるため、補助金申請の予定がなくても取り組む価値があります。実務としては、代表者が宣言文の内容を確認したうえでポータル上のフォームに入力し、公表する流れになります。社内で誰が入力担当になるかを決めておけば、申請直前に慌てて対応する必要がなく、公募要領の公開後すぐに他の準備に集中できます。取得コストが低い分、優先順位に迷う場合はまずここから着手するのが無難です。
2. 事業継続力強化計画(比較的短期間で取得できる)
防災・減災の観点から自社のBCPの簡易版を策定するもので、申請から認定まで目安約45日とされています。次回公募まで2〜3か月ある場合は候補になります。策定する際は、自然災害や感染症など自社が想定するリスクを洗い出し、被害を最小限にするための体制や初動対応を計画としてまとめる作業が発生します。過去に策定経験がない企業の場合、計画の骨子を作るだけでも一定の時間がかかるため、公募の締切から逆算して「認定まで約45日」に加えて社内での計画づくりの期間を見込んでおく必要があります。認定を待っている間に公募が締め切られてしまうと加点自体が使えなくなるため、スケジュールには余裕を持たせるのが実務上の基本です。
3. 経営革新計画(時間はかかるが加点以外のメリットも大きい)
承認まで数か月を要するため直近の公募には間に合わないこともあります。一方で承認後は他の補助金の加点にも使えるほか、政策金融公庫の融資などでも優遇を受けられる場合があります。経営革新計画は複数年にわたる経営目標や具体的な数値計画を記載する必要があり、事業継続力強化計画よりも作成の負荷が高い傾向にあります。そのため、直近の公募に間に合わせることを目的にするよりも、中長期的に複数回の補助金申請や融資審査で使うことを見据えて、時間に余裕があるタイミングで着手しておく方が現実的です。
加点項目取得の実務フロー(誰が・いつ・何を用意するか)
加点項目の取得は、書類作成担当者だけで完結しないケースが多く、社内の役割分担を先に決めておくと動きがスムーズになります。
- 代表者・経営層:パートナーシップ構築宣言のように代表者名での宣言・署名が必要な項目は、内容を確認し承認する時間を確保しておく。承認が遅れると、実務担当者が用意していてもポータルへの登録自体が滞る。
- 総務・経理担当:賃上げ加点のように給与支給総額の実績データや計画数値が必要な項目は、経理側で過去の支給実績を整理しておくと、事業計画への記載がスムーズになる。
- 申請書作成担当:どの加点項目を狙うかを公募要領の公開後すぐに洗い出し、認定・宣言が必要なものと申請書内の記載で足りるものを仕分けする。認定に時間がかかるものから先に着手する。
- 外部窓口とのやり取り:経営革新計画のように都道府県の承認を要する項目は、事前相談や書類の様式確認など、提出前のやり取りが発生することがある。余裕を持ったスケジュールで動く必要がある。
この流れを公募要領が出るたびに一からやり直すのではなく、自社が継続的に維持しておく加点項目(パートナーシップ構築宣言など)と、公募ごとに検討する加点項目とを分けて管理しておくと、次の公募が出たときの初動が早くなります。
ありがちな失敗と回避策
- 公募要領を確認せずに前回の加点項目を前提に準備してしまう:加点項目や配点は公募回ごとに見直されるため、前回対象だった項目が今回は対象外になっている、あるいは配点が変わっていることがあります。公募要領が公開されたら、加点項目のページを毎回読み直すことで回避できます。
- 認定・宣言の取得に着手するタイミングが遅い:事業継続力強化計画のように認定まで一定の期間を要する項目は、公募の締切直前に気づいて着手しても間に合わないことがあります。申請したい公募回の締切から、認定に必要な期間を逆算して着手時期を決めることが回避策になります。
- 加点項目の取得だけに労力を割き、事業計画の中身がおろそかになる:加点項目はあくまで同水準の計画同士を比較したときの差になり得る要素であり、事業計画の内容そのものが弱ければ加点があっても採択には結びつきにくいと考えられます。加点項目の準備と事業計画のブラッシュアップは並行して進める必要があります。
- 代表者の確認・署名待ちで手続きが止まる:パートナーシップ構築宣言など代表者名での手続きが必要な項目は、実務担当者が書類を用意していても代表者の確認が取れなければ完了しません。着手前に代表者のスケジュールを押さえておくと止まりにくくなります。
- 賃上げ計画の数値と実際の給与支給実績に整合性がない:賃上げ加点は事業計画への記載で対応できますが、記載した引き上げ計画と実際の給与支給総額の推移に矛盾があると、審査時に説得力を欠くことがあります。経理データを踏まえた現実的な計画にしておくことが望ましいと考えられます。
判断に迷ったときの基準
どの加点項目から着手すべきか迷う場合は、次の3つの軸で優先順位をつけると整理しやすくなります。
- 次回公募までの残り期間:締切までの期間が短い場合は、パートナーシップ構築宣言のようにポータル登録のみで完結する項目を優先し、認定に時間がかかる項目は次回以降の公募に回す判断も必要です。
- 取得後の再利用可能性:経営革新計画のように、承認後に補助金以外の場面(融資など)でも活用できる項目は、直近の公募に間に合わなくても着手する価値があります。単発の公募のためだけに労力を割くべきか、中長期的な資産として捉えられるかを分けて考えると判断しやすくなります。
- 社内で対応可能なリソース:認定・宣言の取得には、代表者の確認や経理データの整理など、書類作成担当者以外の協力が必要になる場合があります。社内の体制を踏まえて、どの項目から着手するのが現実的かを見極めます。
加点項目チェックリスト
申請前に、以下の観点で加点項目の準備状況を確認しておくと、直前になって慌てることを防げます。
- 今回の公募要領で対象となる加点項目を確認したか
- 加点項目ごとの配点や適用条件を読み違えていないか
- 認定・宣言が必要な項目は、締切から逆算して着手・完了しているか
- 代表者の確認・署名が必要な手続きは完了しているか
- 賃上げ加点などの数値記載は、実際の経理データと整合しているか
- 取得済みの認定・宣言の有効期限が申請時点で切れていないか
- 加点項目の準備と並行して、事業計画本体の内容を磨けているか
複数の補助金で加点を使い回す際の確認ポイント
一度取得した認定・宣言は、その後の複数の公募で繰り返し加点として使えることがあります。ただし使い回す際には次の点を確認しておく必要があります。
- 有効期限が切れていないか:経営革新計画や事業継続力強化計画などの認定には有効期間が設けられている制度があります。前回の申請時には有効だったものが、今回の申請時点では期限切れになっていないか、申請前に必ず確認してください。
- 対象の補助金で本当に加点対象になっているか:同じ認定・宣言でも、補助金Aでは加点対象、補助金Bでは対象外というケースがあり得ます。取得済みだからといって当然に加点されるとは限らないため、公募要領の加点項目一覧に記載があるかを個別に確認します。
- 記載内容が最新の事業実態と合っているか:経営革新計画のように将来の数値計画を含む認定は、策定時点から時間が経つと事業実態とずれてくることがあります。古い計画のまま使い回すと、審査担当者から見て説得力を欠く可能性があるため、内容の見直しが必要かどうかも合わせて確認しておくと安心です。
注意点
- 加点項目は「取得すれば必ず採択される」ものではなく、あくまで加点要素の一つです。
- 公募回によって対象となる加点項目や配点が変わるため、公募要領の公開後すぐに確認してください。
- 承認・認定に時間がかかるものは、申請したい公募回から逆算して着手時期を決める必要があります。
- 複数の補助金で同じ認定・宣言が加点として使えることがあるため、一度取得した加点項目は他の補助金への申請でも活用できないか確認すると効率的です。
よくある質問
Q. 加点項目を取得すれば必ず採択されますか?
A. いいえ、加点項目は「取得すれば必ず採択される」ものではなく、あくまで加点要素の一つです。事業計画の内容が同水準の場合の差になり得る要素であり、計画の中身そのものが弱ければ加点があっても採択には結びつきにくいと考えられます。
Q. 加点項目はどの公募回でも同じですか?
A. いいえ、加点項目の種類や配点は補助金の種類だけでなく公募回によっても見直されます。前回対象だった項目が今回は対象外になっていることもあるため、申請の都度その回の公募要領で対象項目を確認する必要があります。
Q. どの加点項目から手をつければよいですか?
A. 次回公募までの残り期間、取得後の再利用可能性、社内で対応可能なリソースの3軸で判断します。着手ハードルが低いパートナーシップ構築宣言から始め、余裕があれば認定・承認に時間のかかる項目に進めるのが現実的です。
Q. 一度取得した認定は他の補助金でも使えますか?
A. 複数の補助金で同じ認定・宣言が加点として使えることがありますが、対象になるかは補助金ごとに異なります。有効期限が切れていないか、当該公募の加点項目一覧に記載があるかを申請のたびに個別に確認してください。
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