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不採択・採択率

不採択通知が届いたら最初にやるべきこと

執筆:小嶋 譲司株式会社TOE 代表取締役 読了 約11情報時点:2026年7月19日
不採択通知が届いたら最初にやるべきこと
この記事が扱う制度の公募状況

結論

不採択通知が届いたら、まず通知文に記載された内容を確認し、事務局への問い合わせと今後の方針決定を早めに進めることが重要です。不採択理由は正式な文書では開示されにくいため、コールセンターへの電話が実務上の主な情報源になります。感情的に落ち込む時間よりも、次の公募までの残り日数を数える時間のほうが価値があります。以下、通知が届いた当日から再申請・制度切り替えの判断までを、実務の順番どおりに整理します。

ステップ1:通知文をまず読み込む

不採択通知には次のような情報が記載されていることがあります。

  • 総合的な審査の結果、不採択となった旨の一文(個別の詳細理由は記載されないのが一般的)
  • 再申請の可否や次回公募の案内
  • 事務局への問い合わせ先

多くの補助金では、通知本文に具体的な減点理由までは書かれません。まずは再申請の余地があるか、次回公募のスケジュールがいつかを確認しましょう。

通知文チェックリスト

  • 「不採択」の文言そのものを確認した(「保留」「継続審査」など別の扱いと混同していないか)
  • 再申請可否の記載の有無を確認した
  • 事務局の問い合わせ先(電話番号・受付時間)を控えた
  • 申請時の受付番号・整理番号を手元に用意した
  • 通知の到着日と、次にやるべきことの期限をカレンダーに入れた

通知文はPDFやメールで届くことが多く、担当者以外の目に触れないまま埋もれがちです。届いたその日のうちに、社内の意思決定者(代表者・経営企画担当)に共有することが、次のステップに進む速度を左右します。

ステップ2:事務局に問い合わせてフィードバックを得る

事業再構築補助金やものづくり補助金では、申請者本人からコールセンターに電話で問い合わせると、担当者から口頭である程度のフィードバックを受けられる場合があります。

問い合わせ時のポイント

  • 申請者本人が連絡する:代行者ではなく代表者本人からの問い合わせが原則求められます
  • 受付番号を手元に用意する:本人確認のため申請時の受付番号が必要です
  • その場でメモを取る:口頭での説明のみで、文書化された回答はもらえないのが一般的です
  • 審査項目ごとに聞く:どの項目が弱かったかを分けて尋ねると具体性のある回答を得やすくなります

質問の組み立て方(例) 漠然と「なぜ落ちたのですか」と聞いても、審査項目のどこが弱かったかまでは引き出しにくいのが実情です。次のように分解して尋ねると、担当者も答えやすくなります。

  1. 「事業の独自性・優位性についての評価はいかがでしたか」
  2. 「収支計画・数値の妥当性についての評価はいかがでしたか」
  3. 加点項目(賃上げ・パートナーシップ構築宣言など)は正しく反映されていましたか」
  4. 「次回申請する場合、特に補強すべき点はありますか」

電話がつながりにくい時期に注意する 公募締切の直後から結果発表の前後は、コールセンターへの問い合わせが集中しやすいタイミングです。つながらない場合は時間帯を変える、日をまたぐなどの工夫が必要になります。1回で聞き切れなかった場合は、担当者の名前(部署名でも可)を控えておくと、再度問い合わせる際に話が早くなります。

ありがちな失敗

  • 代表者ではなく顧問税理士や補助金コンサルタントが単独で問い合わせようとして、本人確認で断られる
  • 電話口でのメモを取らず、社内共有時に記憶違いが生じる
  • 「総合的な判断です」という定型回答だけで引き下がってしまい、具体的な項目まで聞かずに終える

問い合わせ後の社内共有メモ(テンプレート例)

電話で得た情報は、その場限りのメモで終わらせず、社内で誰が見ても再現できる形に残しておくと、再申請の計画づくりに直接使えます。

  • 問い合わせ日時/対応した部署名
  • 受付番号
  • 事業の独自性・優位性についての回答内容
  • 収支計画についての回答内容
  • 加点項目の扱いについての回答内容
  • 次回申請に向けたアドバイスの有無

このメモを申請書の見直し会議に持ち込むことで、「なんとなく厳しかったらしい」という曖昧な共有ではなく、審査項目ごとに具体的な修正方針を立てられます。

ステップ3:情報公開請求の限界を知る

行政機関が保有する情報については、情報公開法・条例に基づく開示請求という手段があります。ただし次の点に注意が必要です。

  • 開示請求書を書面で提出し、手数料を納付する必要がある
  • 審査結果や配点の詳細は、他の申請者の情報や審査プロセスに関わるため、不開示・部分開示となる事例が報告されている
  • 開示までに数週間〜数か月かかることがある

実務上は、事務局コールセンターへの電話のほうが早く具体的なフィードバックを得やすい手段です。情報公開請求はあくまで最終手段と理解しておくとよいでしょう。

コールセンター問い合わせと情報公開請求の比較

項目コールセンターへの電話情報公開請求
得られる情報の速さ即日〜数日以内数週間〜数か月
得られる情報の具体性口頭での大まかな傾向にとどまることが多い開示されれば文書として残るが、部分開示・不開示の例が報告されている
手続きの手間電話1本書面提出・手数料納付が必要
向いているケース次回公募に向けてすぐ動きたい場合制度・手続き上の記録を正式に残したい場合

次回公募までの期間が限られている場合は、まずコールセンターへの電話を優先し、時間に余裕がある場合に情報公開請求を並行して検討する、という順序が実務的です。

ステップ4:再申請か、制度切り替えかを判断する

選択肢向いているケース
同じ補助金に再申請する指摘された弱点を具体的に補強できる見込みがある場合
別の補助金に切り替えるそもそも投資内容が制度趣旨と合っていなかった場合

設備投資よりも販路開拓が主目的であれば持続化補助金、ITツールの導入が中心であればIT導入補助金、事業の再構築を伴う大規模な投資であれば事業再構築補助金というように、事業内容と制度趣旨の合致度を見直すことも有効です。

判断に迷ったときの基準

  • 事務局からのフィードバックで指摘された点が、計画の「書き方」の問題なのか、「事業内容そのもの」の問題なのかを切り分ける
  • 「書き方」の問題(数値根拠の薄さ、加点項目の記載漏れなど)であれば、同一制度への再申請で補強できる余地が大きい
  • 「事業内容そのもの」の問題(制度趣旨との不一致、収支計画の実現可能性)であれば、別制度への切り替えを検討する価値がある

主要制度の直近の公募スケジュール(2026年7月19日時点)

再申請や制度切り替えを判断する上では、次回公募がいつ開くのかという情報が欠かせません。以下は2026年7月19日時点で公式サイトから確認できる主要制度の状況です。締切日や上限額は変更されることがあるため、必ず公式発表を確認してください。

制度状況受付期間の目安
新事業進出・ものづくり補助金(第1回公募)公募予定2026-08-31 〜 2026-09-30
ものづくり補助金(第23次公募)締切済み(次回未公表)2026-04-03 〜 2026-05-08
IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金2026)締切済み2026-03-30 〜 2026-07-21
持続化補助金(第20回・一般型)公募予定2026-11-05 〜 2026-12-15
事業再構築補助金(第13回公募)締切済み(次回未公表)

たとえばものづくり補助金で不採択となった場合、直近の第23次公募はすでに締切済みで次回は未公表ですが、新設された「新事業進出・ものづくり補助金」の第1回公募が2026年8月31日〜9月30日に予定されています。制度名が変わっていても投資内容が対象範囲に含まれるかは、事務局への問い合わせや公募要領の確認が必要です。

採択率から見る「不採択は珍しくない」という事実

不採択という結果そのものに過度に落ち込む前に、実際の採択率を数字で確認しておくことも判断材料になります。以下はものづくり補助金の公表値(出典:https://portal.monodukuri-hojo.jp/saitaku.html/2026年7月19日取得)です。

公募回申請件数採択件数採択率
第15次(2023-09-29)5,694件2,861件50.2%
第16次(2024-01-19)5,608件2,738件48.8%
第17次(2024-05-20)629件185件29.4%
第18次(2024-06-25)5,777件2,070件35.8%
第19次(2025-07-28)5,336件1,698件31.8%
第20次(2025-10-27)2,453件825件33.6%
第21次(2026-01-23)1,872件638件34.1%
第22次(2026-04-30)1,552件582件37.5%

全22回平均は47.5%、直近5回平均は34.6%です(2026年7月19日時点の公表値による)。直近の採択率は制度開始当初より低い水準で推移しており、1回の不採択が事業計画自体の欠陥を意味するとは限りません。とはいえ採択率が3割台であるということは、通知文の指摘を放置したまま同じ内容で再提出しても、通る保証にはならないということでもあります。フィードバックを踏まえた具体的な補強が欠かせません。

再申請までのスケジュール管理

次回公募までの期間をどう使うかは、再申請の成否を左右します。以下は実務での進め方の目安です。

  1. 通知受領〜1週間以内:事務局への問い合わせを完了させ、指摘のあった項目をメモとして残す
  2. 1〜2週間以内:社内で事業計画の見直し会議を実施し、「書き方の問題」か「事業内容の問題」かを切り分ける
  3. 次回公募発表まで:数値根拠の再検証(市場規模・売上計画の裏付け資料の収集など)を進める
  4. 公募要領公開後:加点項目の要件(賃上げ・パートナーシップ構築宣言など)を最新の公募要領で再確認する
  5. 申請直前:前回提出した申請書と見直し後の申請書を並べて、指摘事項がどう反映されたかを社内でレビューする

公募要領は制度改定のたびに加点項目や上限額が変わることがあるため、「前回と同じ内容で出す」という判断自体がリスクになり得ます。

よくある失敗と回避方法

失敗例回避方法
通知を放置し、次回公募のスケジュールを逃す通知受領当日にカレンダーへ次回公募の想定時期を登録する
フィードバックを得ないまま、前回と同じ内容で安易に再提出する事務局への問い合わせを必須プロセスとして社内ルール化する
コンサルタント任せにして、自社の事業の実態と乖離した計画を作ってしまう計画の最終レビューは必ず代表者・現場責任者が行う
代表者以外が問い合わせを試みて本人確認で断られる問い合わせは代表者本人が行うことを事前に確認しておく
「総合的な判断」という回答だけで終わらせる審査項目ごとに分けて質問し、担当者の回答をその場でメモする

最終チェックリスト

再申請または制度切り替えの判断を下す前に、以下を確認してください。

  • 通知文の内容(再申請可否・次回公募案内)を確認した
  • 事務局へ問い合わせ、審査項目ごとのフィードバックを得た
  • 「書き方の問題」か「事業内容の問題」かを社内で切り分けた
  • 次回公募のスケジュール(受付期間)を確認した
  • 別制度への切り替えの要否を検討した
  • 前回提出した申請書と見直し後の内容を比較レビューした

よくある質問

Q. 不採択通知が届いたら、まず何をすればよいですか?

A. 通知文で再申請の可否と次回公募の案内を確認したうえで、事務局のコールセンターへ申請者本人が問い合わせ、審査項目ごとに口頭でのフィードバックを求めるのが実務上の主な情報源です。受付番号を手元に用意し、聞いた内容はその場でメモに残しておきましょう。

Q. 不採択の理由は情報公開請求で入手できますか?

A. 情報公開法・条例に基づく開示請求は可能ですが、審査結果や配点の詳細は他の申請者情報や審査プロセスに関わるため不開示・部分開示となる事例が報告されており、開示まで数週間〜数か月かかることもあります。まずは事務局への電話問い合わせのほうが早く具体的な情報を得やすい手段です。

Q. 事務局への問い合わせは誰が行うべきですか?

A. 代行者ではなく申請者本人が連絡するのが原則です。本人確認のため申請時の受付番号を手元に用意したうえで電話をかけ、事業の独自性や収支計画、加点項目の扱いなど、審査項目ごとに分けて質問すると、担当者からより具体的な回答を引き出しやすくなります。

Q. 再申請と別制度への切り替え、どちらを選ぶべきですか?

A. 事務局の指摘が申請書の「書き方」の問題であれば、同一制度への再申請で補強できる余地が大きいです。一方で「事業内容そのもの」が制度趣旨と合っていない場合は、持続化補助金やIT導入補助金、事業再構築補助金など別制度への切り替えを検討したほうが現実的です。

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