補助金の
不採択・採択率

主要補助金の採択率まとめと正しい見方

執筆:小嶋 譲司株式会社TOE 代表取締役 読了 約7情報時点:2026年7月19日
主要補助金の採択率まとめと正しい見方
この記事が扱う制度の公募状況

結論

主要な補助金の採択率は、制度・公募回によって大きく異なり、同じ制度でも回ごとに10〜20ポイント変動することがあります。数字だけを見て「通りやすい・通りにくい」を判断するのは危険で、応募者の質や枠の違いも影響します。本記事では主要4制度の採択率推移を公式データに基づいて整理し、採択率を読み違えないための実務的なチェックポイントもあわせて解説します。

注意:以下の数値は各補助金の公式サイトで公表されている採択結果に基づく参考値です(2026年7月時点で確認できた分)。最新の数字は必ず各制度の公式サイト「採択結果」ページでご確認ください。

ものづくり補助金の採択率推移

ものづくり補助金は公募回ごとに採択率のばらつきが大きい制度の代表例です。直近の公表データ(出典:ものづくり補助金総合サイト「採択結果」ページ、2026年7月19日時点で確認できた分)をもとに、過去8回分を一覧にしました。

公募回公表日応募者数採択者数採択率
15次2023-09-295,694者2,861者50.2%
16次2024-01-195,608者2,738者48.8%
17次2024-05-20629者185者29.4%
18次2024-06-255,777者2,070者35.8%
19次2025-07-285,336者1,698者31.8%
20次2025-10-272,453者825者33.6%
21次2026-01-231,872者638者34.1%
22次2026-04-301,552者582者37.5%

全22回の平均採択率は47.5%ですが、直近5回(18次〜22次)の平均は34.6%まで下がっています。制度創設初期は採択率が50%前後の回もありましたが、直近では30%台前半〜半ばで安定的に推移しており、「昔の採択率」を根拠に難易度を見積もると実態と大きくずれる点に注意が必要です。

特に17次は応募者数が629者と他の回に比べて極端に少なく、採択率も29.4%と低水準でした。これは公募類型や対象が限定的だった回である可能性が高く、応募者数が少ない回の採択率をそのまま「制度全体の難易度」として扱うのは適切ではありません。回ごとの応募条件・対象類型を確認したうえで、比較可能な回同士を並べて見る習慣をつけましょう。

なお、2026年度は「新事業進出・ものづくり補助金」への制度移行が予定されており、第1回公募は受付期間2026年8月31日〜9月30日で予告されています(革新的新製品・サービス枠は上限2,500万円、賃上げ特例で3,500万円、新事業進出枠・グローバル枠は上限7,000万円、賃上げ特例で9,000万円)。従来のものづくり補助金とは名称・枠構成が変わるため、過去の採択率データをそのまま新制度に当てはめて判断することはできません。申請を検討する際は必ずものづくり補助金の最新情報で最新の公募要領を確認してください。

小規模事業者持続化補助金の採択率推移

公募回応募者数採択者数採択率
第16回7,371者2,741者37.2%
第17回23,365者11,928者51.0%前後
第18回17,318者8,330者48.1%

応募件数そのものが回によって大きく変動する制度で、第17回は応募が急増した一方、採択率はむしろ高水準でした。応募数の増減と採択率は必ずしも連動しないため、直近1〜2回の数字だけで判断せず複数回の推移を見ることをおすすめします。

第20回(一般型・通常枠)は2026年11月5日〜12月15日の受付が予定されています(2026年7月19日時点の公表情報)。通常枠の補助上限は50万円(特例適用で最大250万円)、創業型は200万円、共同・協業型は最大5,000万円で、補助率は2/3(赤字事業者は3/4)です。応募を検討している事業者は、公募開始前に事業計画書の骨子や経営計画の裏付け資料(売上実績、商圏データなど)を早めに準備しておくと、公募開始後の作成期間を有効に使えます。詳しくは持続化補助金のページもご覧ください。

IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)の採択率

年度採択率(全体)
2021年度59.2%
2022年度73.9%
2023年度75.9%
2024年度69.9%
2025年度43.8%

2025年度は前年度から大きく低下しており、不正受給対策としての審査強化が背景にあるとされています。枠によって採択率に差がある点も押さえておきたいポイントです。

2026年度は「デジタル化・AI導入補助金2026」として、通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠の3枠構成で公募が行われており、受付期間は2026年3月30日〜7月21日で、すでに締切済みです(次回公募の日程は未公表)。補助上限は最大450万円、補助率は1/2〜4/5と、申請枠・従業員規模・賃上げ要件によって幅があります。IT導入補助金は他制度と比べて採択率が高い年度が続いてきましたが、2025年度の43.8%への低下は「以前と同じ感覚で申請すると通らない」ことを示すデータであり、事業計画・ITツール選定の妥当性をより丁寧に説明する必要があります。詳細はIT導入補助金のページをご確認ください。

事業再構築補助金の採択率推移

公募回応募者数採択者数採択率
第9回9,369者4,259者45.5%
第10回10,821者5,205者48.1%
第11回9,207者2,437者26.5%前後
第12回7,664者2,031者26.5%前後
第13回3,100者1,101者35.5%

制度発足初期は採択率が高かったのに対し、回を重ねるごとに審査が厳格化しました。第10回の48.1%から第11回の26.5%前後への急落は、審査基準の変更または応募者の質・量の変化が起きたことを示唆しており、「前回通りやすかったから今回も同水準だろう」という予測が外れやすい典型例です。現時点(2026年7月19日)で第13回の次となる公募日程は未公表のため、次回公募を待つ事業者は公式サイトの発表を定期的に確認する必要があります。詳しくは事業再構築補助金のページをご覧ください。

採択率を読み違えないための実務チェックリスト

採択率のデータを見て申請判断をする際、以下の順番で確認すると読み違いを防ぎやすくなります。

確認項目確認する理由確認先
自分が申請する「枠」の採択率か制度全体と枠別で採択率が大きく異なることがある各制度の採択結果発表ページ
直近1回だけでなく3〜5回分の推移か単発の数字は特殊要因(応募者数の急増急減など)でぶれる過去の採択結果発表
応募者数が極端に少ない回でないか母数が小さい回の採択率は参考値としての信頼度が低い応募者数・採択者数の内訳
数値の公表時点はいつか制度は年度・回ごとに要件や審査基準が変わる発表ページの公表日
制度そのものが移行・統合されていないか後継制度では過去データがそのまま参考にならない制度公式サイトの最新公募要領

このチェックリストは「採択率が高いから安心」「低いから諦める」という単純な判断を避けるためのものです。数字はあくまで出発点であり、実際に採択されるかどうかは提出する事業計画の内容次第です。

ありがちな失敗と回避方法

採択率のデータをめぐって、申請準備の現場でよく見られる失敗パターンを整理しました。

失敗1:古い採択率をもとに難易度を見積もる ものづくり補助金は全22回平均で47.5%ですが、直近5回平均は34.6%まで下がっています。数年前の情報や体験談をもとに「この制度は通りやすい」と判断すると、実際の難易度とズレたまま準備を進めてしまいます。回避策として、必ず直近3〜5回分のデータを確認し、平均ではなく最新の傾向を基準にしましょう。

失敗2:制度全体の採択率と自分の枠の採択率を混同する IT導入補助金のように複数の枠がある制度では、枠ごとに難易度が異なります。「制度全体で43.8%だから五分五分」と考えて、自分が申請する枠の個別の採択率を確認しないまま計画を立てるのは危険です。公式発表では枠別の内訳が公開されていることが多いため、必ず該当箇所を確認してください。

失敗3:応募者数が少ない回の採択率を鵜呑みにする ものづくり補助金17次のように応募者数が629者と少ない回では、採択率(29.4%)だけを見て「この時期は厳しかった」と一般化するのは早計です。母数が小さい回は特殊事情(対象類型の限定など)が影響しやすいため、応募者数もあわせて確認する習慣をつけましょう。

失敗4:公募回の切り替わりに気づかず古い制度で準備する ものづくり補助金は2026年度に「新事業進出・ものづくり補助金」へ移行が予定されています。制度の名称・枠構成・補助上限が変わるタイミングでは、過去の採択率データがそのまま参考にならなくなります。申請を検討する制度が移行期にないか、公式サイトで必ず最新情報を確認してください。

採択率の見方で注意すべき3つのこと

1. 採択率は「通りやすさ」の絶対指標ではない

審査は相対評価が基本です。採択率が高い回でも事業計画の質が低ければ不採択になりますし、逆に採択率が低い回でも要件と審査項目を満たした計画は採択されます。

2. 枠・類型ごとに採択率が大きく異なる

同じ補助金でも通常枠と特別枠で難易度が異なります。「制度全体の採択率」ではなく「自分が申請する枠の採択率」を確認することが重要です。

3. 直近1回だけでなく複数回の推移を見る

1回だけの採択率は、その回にたまたま応募が集中したなどの事情で変動します。過去3〜5回分の推移を見ることで、制度としての傾向がつかみやすくなります。

制度別・直近の採択率早見表(2026年7月19日時点)

制度直近の採択率公表時点
ものづくり補助金37.5%(22次)2026-04-30公表
小規模事業者持続化補助金48.1%(第18回)公表時点は原資料に準拠
IT導入補助金43.8%(2025年度)2025年度実績
事業再構築補助金35.5%(第13回)公表時点は原資料に準拠

この一覧はあくまで直近1回・1年度分の数値です。前述のとおり、単発の数字だけで難易度を判断せず、必ず各制度のページで複数回分の推移を確認したうえで申請計画を立ててください。

なお2026年7月19日時点の公募状況は、IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金2026)が受付中(2026年3月30日〜7月21日。現在は締切済み)、ものづくり補助金は第23次公募が2026年5月8日に締め切られ次回は未公表、事業再構築補助金も第13回公募後の次回は未公表、持続化補助金は第20回(2026年11月5日〜12月15日予定)を控えている段階です。採択率の推移を確認するのと同じタイミングで、自分が申請したい制度がいま「公募中」なのか「締切済み・次回未公表」なのかもあわせて確認しておくと、準備のスケジュールが立てやすくなります。

公募回ごとの採択率の推移

公式サイトが公表している申請者数と採択者数から算出しています(2026-07-19取得)。 全22回の平均は47.5%、直近5回の平均は34.6%です。 最も高かったのは第9次の62.6%、最も低かったのは第17次の29.4%で、 回によって33.2ポイントの差があります。

47.5%全期間の平均
34.6%直近5回の平均
62.6%最高(第9次)
29.4%最低(第17次)
631
572
383
314
455
486
507
608
639
6110
6011
5912
5813
5114
5015
4916
2917
3618
3219
3420
3421
3822

横軸=公募回(次)、縦軸=採択率(%)

22回の申請者数・採択者数を見る
公募回採択発表申請者数採択者数採択率
222026-04-301,55258237.5%
212026-01-231,87263834.1%
202025-10-272,45382533.6%
192025-07-285,3361,69831.8%
182024-06-255,7772,07035.8%
172024-05-2062918529.4%
162024-01-195,6082,73848.8%
152023-09-295,6942,86150.2%
142023-06-234,8652,47050.8%
132023-02-203,2611,90358.4%
122022-12-163,2001,88558.9%
112022-10-204,6682,78659.7%
102022-07-154,2242,58461.2%
92022-03-253,5522,22362.6%
82022-01-124,5842,75360.1%
72021-09-275,4142,72950.4%
62021-06-294,8752,32647.7%
52021-03-315,1392,29144.6%
42021-02-1810,0413,13231.2%
32020-09-256,9232,63738.1%
22020-06-305,7213,26757.1%
12020-04-282,2871,42962.5%

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公式サイト(https://portal.monodukuri-hojo.jp/saitaku.html)。採択率は公表されている申請者数と採択者数から当サイトが算出したものです。 枠が複数ある回は主たる枠の数値を用いています。

よくある質問

Q. 採択率が高い制度を選べば通りやすいですか?

A. 採択率が高くても審査は相対評価のため、事業計画の質が低ければ不採択になります。逆に採択率が低い回でも、要件と審査項目を満たした計画は採択されています。採択率はあくまで参考値であり、採択率の高さだけを理由に申請先や難易度を決めるのは避けるべきです。

Q. 同じ制度でも採択率が回ごとに違うのはなぜですか?

A. 応募者数の増減や公募類型、審査基準の見直しなどが回ごとに変わるためです。ものづくり補助金は直近5回(18次〜22次、2026年7月時点)平均34.6%ですが、回によって31.8〜37.5%まで幅があり、単発の数字だけでは傾向をつかめません。

Q. 過去の採択率データはいつまで参考にできますか?

A. 制度が後継制度へ移行すると、名称・枠構成・補助上限が変わり、過去データがそのまま参考にならなくなります。ものづくり補助金は2026年度に新事業進出・ものづくり補助金へ移行予定のため、移行前後の数値を単純比較しないよう注意してください。移行のタイミングは公式サイトで確認しましょう。

Q. 採択率を確認するときに一番気をつけるべき点は何ですか?

A. 制度全体の採択率ではなく、自分が申請する枠の採択率を確認することです。あわせて直近1回だけでなく3〜5回分の推移を見て、応募者数が極端に少ない回(例:ものづくり補助金17次の応募者629者)は参考値として少し割り引いて捉えるとよいでしょう。

この記事で取り上げている制度

上限額・補助率・締切・公式の公募要領へのリンクは、それぞれの制度ページにまとめています。

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