この制度の実務Go-Tech事業を申請する前に押さえること
Go-Tech事業で何ができるか
Go-Tech事業は、中小企業が大学・公設試験研究機関等と連携して行う研究開発と、その成果の事業化を最大3年間にわたって支援する制度です。旧サポイン事業(戦略的基盤技術高度化・連携支援事業)の後継にあたります。
研究開発フェーズにとどまらず、事業化フェーズへの支援も含む点がこの制度の特徴です。単年度補助金ではなく、最長3年間を通じて資金と取り組みを継続できます。
補助枠は通常枠と資金調達枠の2種類です。通常枠は3年間の補助上限が9,750万円、補助率は2/3以内のため自己負担は費用総額の1/3以上が必要です。資金調達枠は補助上限が3億円で、適用要件の詳細は公募要領で確認してください。
この制度は中小企業技術革新制度(SBIR)の指定補助金の一つに位置づけられており、研究開発から事業化までを一体的に見据えた取り組みが対象となります。2026年8月31日時点で令和8年度の採択は決定済みで、次回公募の時期は未公表です。
対象になる経費・ならない経費
経費区分の名称と詳細は根拠データに明記がないため、公募要領の経費区分の章を参照してください。以下は、この制度の構造から確認できる実務上の注意点です。
補助率は2/3以内のため、採択された場合でも費用総額の少なくとも1/3は自社負担となります。2026年8月31日時点では通常枠・資金調達枠ともに補助率は同じ2/3以内と明記されていますが、自社が手当てできる1/3分の資金調達見込みを申請前に確認してください。
通常枠(3年間で最大9,750万円)と資金調達枠(最大3億円)では、対象経費の範囲や証憑・管理要件が異なる可能性があります。どちらの枠で申請するかを先に決めたうえで、対応する公募要領を読んでください。
大学・公設試との連携費用(共同研究費等)の計上ルールは自社側とは異なることがあります。連携先機関が経費をどのように処理するか、申請前に連携先と確認してください。
補助金では、交付決定通知を受け取る前に発注・購入した費用は対象外となります。見積もりや業者選定は交付決定前でも可能ですが、発注・契約・支払いは交付決定後でなければなりません。この順序を誤ると、該当費用の全額が補助対象から除外されます。
申請の要件と必要な書類
申請の要件として根拠データから確認できる事項を整理します。
(1)申請者の資格:大学・公設試験研究機関等と連携して研究開発を行う中小企業者等であること。中小企業者等の定義(資本金・従業員数の区分)は公募要領で確認してください。
(2)連携体の組成:この制度は単独申請が不可です。大学・公設試等との連携体を組成することが必須要件です。連携先機関の種別として認められる範囲、および申請時点で必要な合意の形式(協定書等)は公募要領で確認してください。
(3)SBIR指定補助金としての要件:この制度は中小企業技術革新制度(SBIR)の指定補助金の一つです。SBIR特有の書類要件や記載事項が公募要領に設けられている場合があります。公募要領のSBIR関連の記載を必ず確認してください。
(4)電子申請システム:e-Radでの申請となります。e-Radへの機関・研究者登録が完了していないと申請できません。申請者だけでなく、連携先機関の研究者・機関の登録状況も含めて事前に確認が必要です。
提出書類の一覧は公募要領に記載されています。根拠データに具体的な書類名の記載がないため、個別の書類要件は公募要領で確認してください。
申請から入金までの流れ
おおまかな流れは「公募開始→e-Radで申請→審査→採択通知→交付申請→交付決定→事業実施→実績報告→補助金受領」です。以下、順序を間違えると問題になる箇所を示します。
【e-Rad申請の準備】
この制度はe-Radでの電子申請です。e-Radへの機関・研究者登録が完了していないと申請できません。連携先の大学・公設試の担当者が未登録の場合、登録完了まで数日以上かかることがあります。公募開始と同時に連携先の登録状況を確認してください。締切直前の確認では間に合わないことがあります。
【採択通知と交付決定は別物】
採択通知が届いた後、さらに「交付決定通知」を受け取るまでは、補助対象経費の発注・購入を行ってはなりません。採択通知=交付決定ではありません。交付決定前に発注・購入した費用は補助対象から除外されます。この点は金額の大小にかかわらず適用されます。
【3年間の年度管理】
この制度は最大3年間の支援のため、年度ごとに実績報告と次年度の交付申請が発生します。各年度の締切・手続きの詳細は採択後に示される事務処理指針で確認してください。
【入金時期】
補助金の受領は実績報告の審査後となります。具体的な支払い時期は公募要領で確認してください。
ここで落ちる・ここで詰まる
【連携体が組めていない状態での申請】
最も基本的な失格要因です。単独申請は不可で、大学・公設試等との連携体組成が必須要件です。連携先機関との合意が口約束にとどまった状態、あるいは連携先が未確定の状態での申請は認められません。
【e-Rad登録の未完了】
e-Radへの機関・研究者登録が完了していないと申請そのものができません。連携先の大学・公設試の担当者が未登録の場合、登録完了まで数日以上かかることがあり、公募締切に間に合わない事態が起きます。公募開始直後に連携先を含めた登録状況を確認してください。
【交付決定前の発注・購入】
採択通知を受け取った後、交付決定通知が届く前に機器を発注したり費用を支払ったりした場合、その費用は補助対象から除外されます。「採択通知が届いた=発注していい」ではありません。
【SBIR指定に伴う特有要件の見落とし】
この制度はSBIR指定補助金です。SBIR特有の書類要件や記載事項が公募要領に設定されている場合があります。通常の補助金申請の経験だけで臨むと、SBIR固有の要件を見落とす可能性があります。公募要領のSBIR関連の章は必ず通読してください。
【次回公募日程は未公表】
2026年8月31日時点で次回公募の日程は未公表です。令和8年度の採択も決定済みのため、令和9年度以降の公募に備えて中小企業庁の公式サイトを定期的に確認してください。
Go-Tech事業のよくある質問
Q. 連携先の大学がまだ決まっていないが申請できるか?
A. この制度は単独申請が不可で、大学・公設試等との連携体組成が必須要件です。連携先が未確定の状態では申請できません。どの機関と、どのような役割分担で研究開発を行うかを固めたうえで申請に臨んでください。連携先機関のe-Rad登録状況も事前に確認が必要です。
Q. 通常枠と資金調達枠のどちらを選べばよいか?
A. 2026年8月31日時点で提供されている情報は上限額(通常枠:3年間最大9,750万円、資金調達枠:最大3億円)と補助率(両枠とも2/3以内)のみです。各枠の適用要件・条件の詳細は公募要領で確認してください。
Q. 今から申請できるか?
A. 令和8年度公募は2026年4月17日17時に締切済みで、採択も決定済みです(2026年8月31日時点)。次回公募の日程は未公表です。中小企業庁の公式サイトで次回公募情報を確認してください。
Q. e-Radへの登録はいつまでに必要か?
A. e-Radへの新規登録には数日以上かかる場合があります。申請者だけでなく、連携先の大学・公設試の研究者・機関の登録状況も含めて、公募開始直後に確認してください。締切直前の確認では間に合わないことがあります。
この解説は2026年8月31日時点の公募要領・掲載データにもとづきます。 申請前に必ず最新の公募要領で確認してください。