補助金の
書き方・申請実務

持続化補助金 経営計画書の書き方|様式1と様式2

執筆:小嶋 譲司株式会社TOE 代表取締役 読了 約8情報時点:2026年8月15日
持続化補助金 経営計画書の書き方|様式1と様式2
この記事が扱う制度の公募状況

結論

  • 申請書類の中核は様式1「経営計画書」と様式2「補助事業計画書」の2つ。
  • 様式1では自社の強みと経営方針を、様式2では補助事業の内容と効果を、経営指導員が確認できる具体性で書く。
  • 様式1の課題と様式2の補助事業内容・効果が一貫していることが、評価される計画書の条件。

様式1「経営計画書」の4つの欄

項目書く内容
1. 企業概要沿革・事業内容・従業員数・主要取引先
2. 顧客ニーズと市場の動向顧客が何を求めているか、市場がどう動いているか
3. 自社の商品・サービスの強み競合と比較した優位性
4. 経営方針・目標と今後のプラン中期的にどこを目指すか

様式1は「事業計画そのもの」ではなく、様式2で提案する補助事業が「なぜ必要か」を審査員に納得させるための土台にあたる。4つの欄はそれぞれ独立した設問ではなく、1→2→3→4と読み進めたときに一本の論理でつながっている必要がある。企業概要で自社の立ち位置を示し、顧客ニーズと市場の動向でギャップを示し、強みで自社がそのギャップにどう応えられるかを示し、経営方針・目標でその先に何を目指すかを示す、という流れを意識して書く。

企業概要:数字で沿革を示す

悪い例:「地域密着で長年営業している。」

良い例は、抽象的な形容詞ではなく、創業年・現在の従業員数・主要取引先の業種や数・直近期の売上高を並べる書き方だ。これらの数字は決算書や確定申告書にそのまま載っているので、自社の該当箇所を転記すればよい。

企業概要でありがちな失敗は、抽象的な形容詞(「長年」「地域密着」「高品質」)だけで済ませてしまうことだ。経営指導員や審査員は初めてその会社を見る読み手であり、創業年・従業員数・主要取引先の数・売上規模といった数字がないと、事業の規模感を正しく想像できない。決算書や確定申告書に載っている数字をそのまま転記するだけでよいので、まずは手元の直近決算書を用意し、そこから使える数字を拾い出すところから着手するとよい。

また、沿革は創業時から現在までを羅列する必要はなく、現在の事業内容に直結する転機(業態転換、主力商品の切り替え、店舗移転など)だけを1〜2行で触れれば十分である。ここで書きすぎると様式2で使うべき文字数を圧迫するため、企業概要はあくまで「土台の共有」に留める。

顧客ニーズと市場の動向:一次情報を使う

悪い例:「顧客のニーズは多様化している。」

良い例:「来店客へのヒアリングでは、店頭受取だけでなく配達を希望する声が一定数を占めた。地域の高齢化率も上昇傾向にあり、今後も配達需要の増加が見込まれる。」

ここで最も差がつくのが「一次情報の有無」である。業界レポートや統計を引用するだけでは、どの申請者にも当てはまる一般論になってしまい、審査員に「自社固有の課題」として伝わらない。良い例のように、自社の顧客に直接聞いた声、店頭での問い合わせ内容、来店・購入データの変化など、自社でしか取得できない情報を核に据えるべきだ。

一次情報がまだ手元にない場合は、様式1を書き始める前に次のような準備をしておくと具体性が一気に増す。

  • 直近1〜3カ月の顧客からの問い合わせ内容をメモや台帳から拾い出す
  • 常連客・取引先に「困っていること」「あったらいいと思うサービス」を数件でもよいので聞いておく
  • POSレジや帳簿がある場合は、商品別・時間帯別の売上傾向を簡単に集計する

これらは大がかりな市場調査である必要はなく、経営者自身が日々の営業で感じている実感を裏付ける材料で構わない。数字が集めきれない場合でも「◯件中◯件」のように分母と分子が分かる形にするだけで説得力が変わる。

強み:競合と比較できる形で書く

悪い例:「品質に自信がある。」

良い例は、競合の提供方法や実績と、自社の提供方法や実績を対比させて書く形だ。競合が仕入販売中心であれば自社の製造方法との違いを、リピート率や稼働率といった実績数値があれば自社の販売記録や予約台帳から算出した数字を添える。

強みの欄でよくある失敗は、「自社の良さ」だけを主観的に語ってしまい、比較対象がないまま終わることだ。審査員は業界内の相場観を必ずしも持っているわけではないため、「競合はこうだが、当社はこう違う」という対比の形にしなければ、その強みが本当に強みなのかどうかが伝わらない。

競合との比較が難しい場合は、以下のような切り口で書き分けを検討するとよい。

切り口書き方の例
提供方法の違い仕入販売 vs 自家製造、店頭販売のみ vs 配達対応
実績数値リピート率、稼働率、顧客単価、待ち時間の短さ
資格・設備有資格者の在籍数、保有設備の種類・台数
顧客の声口コミサイトの評価、紹介による新規客の比率

数字での裏付けが取れない強みでも、具体的なエピソード(「◯◯という個別対応をしたところ、翌月にリピート注文につながった」など)を添えれば、単なる自己評価との違いを示すことができる。

経営方針・目標:補助事業とつながる目標にする

ここで書く中期目標が、様式2の補助事業の必然性を裏付ける。「配達需要への対応」を目標に掲げるなら、様式2では配達体制構築のための支出につながる必要がある。

この欄でよく起きるのが、様式1の目標と様式2の補助事業内容が別の話になってしまうケースだ。たとえば様式1で「新規顧客層の開拓」を掲げながら、様式2では既存顧客向けの業務効率化ツール導入を書いてしまうと、審査員は「なぜこの補助事業がこの目標達成につながるのか」を読み取れなくなる。目標は欲張って複数並べず、様式2で実施する取組と直接つながるものを1つ、多くても2つに絞り込むことが重要である。

様式2「補助事業計画書」の埋め方

  • 補助事業で行う事業名(1文で内容が分かるタイトル)
  • 販路開拓等(生産性向上)の取組内容
  • 補助事業の効果
  • 実施スケジュール
  • 経費明細との整合

悪い例:「チラシを作成し新規顧客を獲得する。」

良い例は、配布エリアや部数、見込む新規注文件数、それに客単価から算出した売上増加額まで、具体的な数量に落とし込んで書く形だ。配布部数・世帯数は配布計画から、客単価は自社の販売データから拾えばよい。

様式2は「何をするか」だけでなく「どう実施し、いつまでに、どのくらいの効果を見込むか」までをセットで書く欄である。取組内容を書くときは、5W1H(誰が・いつ・どこで・何を・なぜ・どうやって)のうち、最低でも「何を・どのくらいの規模で・いつまでに」の3点は数量化する。数量化できない取組(デザインの刷新、接客研修の実施など)であっても、「実施後に何が変わるか」を定性的にでも具体的に書くことで、審査員がイメージしやすくなる。

実施スケジュールは、交付決定後から補助事業完了までの流れを月単位で示すのが基本である。準備(発注・契約)→実施→効果測定という3段階に分けて書くと、経費支出のタイミングとも整合が取りやすい。

経費明細との整合は特に見落とされやすいポイントである。取組内容の文章で書いた数量と、経費明細の項目で計上している数量に食い違いがあると、経営指導員の確認段階で差し戻しの対象になりやすい。様式2を書き終えたら、経費明細の各項目が本文のどの取組に対応しているかを1つずつ照合する作業を必ず行うこと。

効果は様式1の課題に対応させる

様式2の「効果」欄は、様式1で示した経営課題に対する回答になっているかを確認する。課題と効果が一致していないと、一貫性のない計画と判断される。

具体的な確認方法としては、様式1で挙げた課題(例:配達需要への対応不足)と、様式2の効果(例:配達件数の増加、それに伴う売上増)を並べて見比べ、「この効果は、様式1で書いた課題の解決になっているか」を自問する。効果の数字は、企業概要で示した売上規模と比較しても不自然でない範囲に収めることも大切だ。事業規模に対して過大な効果を掲げると、根拠のなさがかえって評価を下げる要因になりかねない。

よくある失敗と回避方法

失敗パターンなぜ問題か回避方法
様式1と様式2の内容がずれている一貫性のない計画と判断される様式1の目標・課題と様式2の取組・効果を並べて照合する
抽象的な表現で数字がない規模感・説得力が伝わらない決算書・帳簿・ヒアリングから使える数字を先に集める
経費明細と本文の数量が食い違う差し戻し・確認の手間が増える本文の各取組と経費明細の項目を1対1で照合する
効果の見込みが過大根拠のなさが逆に不信感につながる自社の売上規模と比較して無理のない数字にする
商工会・商工会議所への相談が申請直前事業支援計画書の発行が間に合わない様式1・2のドラフト段階で一度相談する

様式1・様式2を書く前の準備

書き始める前に、以下を手元に用意しておくと作業がスムーズになる。

  1. 直近1〜2期分の決算書または確定申告書(企業概要の数字用)
  2. 顧客・取引先からの問い合わせ内容やヒアリングメモ(顧客ニーズの一次情報用)
  3. 競合の情報(業態・価格帯・提供方法など、把握している範囲でよい)
  4. 実施したい取組の概算費用(見積書や価格表)
  5. 商工会・商工会議所の担当者の連絡先

特に4の概算費用は、様式2の取組内容・経費明細・スケジュールの全てに関わるため、早い段階で複数の見積もりを取っておくと、後から数字を修正する手間が減る。

商工会・商工会議所への事前相談は必須

持続化補助金は様式1・2に加えて、商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画書」の添付が必要になる。作成した計画書は提出前に必ず担当の経営指導員に確認してもらい、記載内容と支援計画書の整合を取る。

事業支援計画書は申請者自身が作成するものではなく、商工会・商工会議所側が発行する書類であるため、様式1・2を完成させてから慌てて依頼すると、発行までのやり取りに時間を要し、締切に間に合わなくなるおそれがある。ドラフト段階、つまり様式1・2が7〜8割程度書けた時点で一度担当の経営指導員に見てもらい、内容の方向性が的外れでないかを確認してもらうのが実務上のコツである。指導員は多くの申請者の計画書を見てきているため、「この課題と効果は対応が弱い」「この数字の根拠は何か」といった、審査員目線に近い指摘をもらえることが多い。

直近の公募スケジュールでは、第20回(一般型・通常枠)の受付期間は2026年11月5日〜12月15日となっている。商工会・商工会議所は締切直前になると相談が集中しやすいため、受付開始前の段階からドラフトを進め、余裕を持って事前相談の予約を入れておくことが望ましい。

様式1・様式2 提出前チェックリスト

  • 企業概要に沿革・従業員数・主要取引先・売上規模の数字が入っているか
  • 顧客ニーズの欄に、自社で得た一次情報(ヒアリング・問い合わせ内容など)が入っているか
  • 強みの欄が、競合との比較の形で書かれているか
  • 経営方針・目標が、様式2の補助事業内容と直接つながっているか
  • 様式2の取組内容に、数量(部数・件数・期間など)が入っているか
  • 様式2の効果が、様式1の課題への回答になっているか
  • 経費明細の各項目が、様式2本文のどの取組に対応するか説明できるか
  • 商工会・商工会議所の担当者に一度ドラフトを確認してもらったか

制度概要は小規模事業者持続化補助金を参照。

よくある質問

Q. 様式1と様式2はどちらから書き始めるべきですか?

A. 様式1の企業概要・顧客ニーズ・強みまでを先に書き、経営方針・目標の段階で様式2の取組内容と結びつくかを確認しながら並行して書き進めると、両者の一貫性を保ちやすくなります。

Q. 事業支援計画書はいつ商工会・商工会議所に依頼すればよいですか?

A. 様式1・2が7〜8割程度書けたドラフト段階で一度相談し、内容確認と発行依頼を進めるのが実務的です。締切直前は相談が集中しやすいため、受付開始前から準備しておくと安心です。

Q. 様式2の効果欄はどの程度具体的に書く必要がありますか?

A. 取組の規模(部数・件数など)と、それによって見込まれる売上増加などを数字で示すことが望まれます。ただし自社の売上規模と比べて無理のない範囲に収めることが重要です。

Q. 様式1と様式2の内容がずれているかはどう確認すればよいですか?

A. 様式1で挙げた経営課題・目標と、様式2の取組内容・効果を並べて書き出し、課題に対する回答として効果が対応しているかを1つずつ照合することで確認できます。

この記事で取り上げている制度

上限額・補助率・締切・公式の公募要領へのリンクは、それぞれの制度ページにまとめています。

この制度は、AI・システムの導入にも使えます対象になる経費とならない経費、落ちる計画の共通点を整理しました。

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