この制度の実務事業承継税制(法人版)を申請する前に押さえること
事業承継税制(法人版)で何ができるか
この制度は、中小企業の後継者が先代経営者等から非上場株式等を贈与または相続で取得した際に、その株式等に係る贈与税・相続税の100%を納税猶予し、一定の要件を満たし続けることで最終的に税額を免除する税制です。経営承継円滑化法に基づく都道府県の認定を事前に受けることが前提であり、補助金のような「交付申請→採択→交付」という流れではなく、税務申告の枠組みの中で適用を受けます。対象となるのは、中小企業者が発行する非上場株式等を先代経営者等から贈与・相続により取得する場面です。猶予額は対象株式等に係る税額の100%(特例措置)で、猶予後も一定の経営継続要件を維持する必要があります。要件を満たし続けることで将来的に税額が免除されますが、要件を満たさなくなった場合は猶予税額と利子税の一括納付が求められます。2026年9月6日時点で、特例承継計画の提出期限および税制の適用期限は税制改正の状況により変動しているため、最新の期限は中小企業庁の公式情報で確認してください。個人事業主向けには別途「個人版事業承継税制」が存在します。法人版と個人版は制度の仕組みが異なるため、自社の形態に合った制度を選択してください。
対象になる経費・ならない経費
この制度は補助金ではなく税制優遇のため、補助対象経費という区分は存在しません。「対象となる資産」と「対象外となる資産」という観点で整理します。
対象となる資産は、中小企業者が発行する非上場株式等です。経営承継円滑化法に基づく認定を受けた後継者が先代経営者等から贈与または相続により取得した非上場株式等に係る贈与税・相続税が、猶予・免除の対象になります。
対象外となる資産は、上場株式・現預金・不動産等、非上場株式等以外の財産です。贈与・相続に伴う他の資産に係る税額は、通常どおり申告・納付が必要です。
この制度は「猶予」から始まり、要件充足で「免除」に至る構造です。猶予期間中に会社を廃業・解散した場合や、後継者が代表者を退任した場合など、一定の事由が生じると猶予が取り消され、猶予税額に利子税を加えた金額を一括納付する必要が生じます。どの事由が取消しに該当するかは、税務署・国税庁の案内で確認してください。
申請の要件と必要な書類
申請の要件として、まず事前に「特例承継計画」を都道府県知事に提出し、経営承継円滑化法に基づく認定を受けることが必須です。特例承継計画は、認定経営革新等支援機関(金融機関・税理士・中小企業診断士等)の指導・助言を受けた上で策定・提出します。
後継者の要件としては、先代経営者等から贈与または相続により非上場株式等を取得し、代表者への就任や雇用維持等を含む一定の経営継続要件を満たす必要があります。具体的な数値要件・期間要件は税務署の案内および中小企業庁の公式情報で確認してください。
提出書類は、都道府県への特例承継計画の申請時と税務申告時(贈与税・相続税の申告)の二段階で必要になります。都道府県への申請では、特例承継計画書・登記事項証明書・決算書類等が求められる場合があります。税務申告では、経営承継円滑化法の認定書を添付して贈与税・相続税の申告書を提出します。具体的な書類の一覧は、中小企業庁の公式ページおよび所轄税務署に確認してください。
申請から入金までの流れ
この制度は補助金のような「採択→交付決定→発注」の流れではなく、税申告に紐づいた手続きです。手続きの大まかな順序は以下のとおりです。
①認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けながら特例承継計画を策定する。
②都道府県知事へ特例承継計画を提出し、経営承継円滑化法に基づく認定を申請・取得する。
③認定取得後、先代経営者等から後継者へ贈与または相続により非上場株式等が移転する。
④贈与税・相続税の申告期限内に、認定書を添付した申告書を税務署へ提出し、納税猶予の適用を受ける。
⑤猶予期間中は一定の経営継続要件を維持する。要件を満たし続けることで将来的に税額が免除される。
補助金と異なり「交付決定前の発注が失格」というルールではありませんが、認定を受ける前に贈与・相続を実行した場合、本制度の適用が受けられなくなる可能性があります。特例承継計画の提出期限および税制の適用期限は税制改正により変動しているため、2026年9月6日時点の最新情報は中小企業庁の公式ページで必ず確認してください。
ここで落ちる・ここで詰まる
この制度でつまずきやすいポイントを整理します。
第一は、特例承継計画の提出期限・税制の適用期限の見落としです。2026年9月6日時点で期限は税制改正により変動しており、「まだ間に合う」と思い込んでいたら期限が過ぎていた、というケースが起きやすい。中小企業庁の公式ページで最新の期限を確認してください。
第二は、認定取得前に贈与・相続を実行してしまうことです。経営承継円滑化法の認定は事前取得が前提であり、贈与・相続を実行した後に認定を取得しようとしても本制度が適用できない場合があります。手続きの順序を認定経営革新等支援機関・税理士と事前に確認してください。
第三は、猶予期間中の継続要件の管理不足です。猶予は取得して終わりではなく、一定期間の経営継続・雇用維持等の要件を維持する必要があります。要件を満たさなくなった時点で猶予が取り消され、猶予税額と利子税の一括納付が求められます。
第四は、個人版事業承継税制との混同です。法人が対象の本制度と、個人事業主向けの個人版では手続き・要件が異なります。自社の形態を確認してから手続きを進めてください。
事業承継税制(法人版)のよくある質問
Q. 特例承継計画はいつまでに提出すればよいですか?
A. 提出期限は税制改正により変動しており、2026年9月6日時点の最新期限は中小企業庁の公式ページで確認してください。期限を超えると本制度の適用申請ができなくなるため、早めに確認・着手することを勧めます。
Q. 特例承継計画の策定を依頼できる専門家は誰ですか?
A. 認定経営革新等支援機関(金融機関・税理士・公認会計士・中小企業診断士等)が指導・助言を行います。顧問税理士が認定機関かどうかを確認するか、中小企業庁のウェブサイトの機関検索で探してください。
Q. 猶予された税額は必ず免除されますか?
A. 代表者としての経営継続・雇用維持等、一定の要件を満たし続けることが条件です。要件を満たせなくなった場合は猶予が取り消され、猶予税額と利子税の一括納付が求められます。免除の確定要件は税務署の案内で確認してください。
Q. 個人版事業承継税制とはどう違いますか?
A. 法人版は非上場株式等(会社の株式)を対象とし、個人版は個人事業者の事業用資産を対象とします。対象者・手続き・要件がそれぞれ異なります。自社が法人か個人事業主かによって、適用できる制度が異なります。
この解説は2026年9月6日時点の公募要領・掲載データにもとづきます。 申請前に必ず最新の公募要領で確認してください。