ゼロエミ推進製品・サービス等の販路拡大助成事業とは?対象・補助上限・締切をまとめて確認【2026年8月時点】
結論
- 対象者:東京都内の本店または支店で1年以上実質的な事業活動を行っている中小企業者(法人・個人事業者)で、ゼロエミッション関連の製品・技術・サービスを自ら企画・製造し自社製品として販売している事業者。
- 補助上限・補助率:上限150万円、補助率は対象経費の2/3以内。経費区分ごとに個別上限あり(EC出店初期登録料・サイト制作改修費・動画制作費・広告掲載費は各20万円、印刷物制作費は50万円)。
- 令和8年度の申請は2026年8月31日で終了:2026年9月12日時点で令和8年度の受付は終了している。令和9年度の募集時期は現時点で未公表。
この制度の目的と位置づけ
正式名称は「ゼロエミッション推進に向けた事業転換支援事業(販路拡大助成)」、愛称は「ゼロエミ販路」。公益財団法人東京都中小企業振興公社(以下、公社)が運営する。
東京都は2050年のゼロエミッション実現を掲げ、2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減する「カーボンハーフ」を中間目標としている。令和7年3月に策定された「ゼロエミッション東京戦略 Beyond カーボンハーフ」がその政策的根拠であり、本助成はその戦略に基づいて実施されている。
制度の核心は展示会への出展費用・Webサイト制作費・販促物制作費の補助であり、研究開発費や設備投資は対象外。ゼロエミッション関連製品はすでに持っているが、それを売る場と販促予算が不足している都内中小企業向けの制度と位置づけられる。
同じ公社が「課題解決型製品・サービス等の販路拡大助成(課題解決販路)」も運営しており、申請分野の違いで棲み分けている。ゼロエミッション4分野に当てはまらない製品・サービスを持つ事業者はそちらも確認すること。
助成対象者の要件と「ここで落ちる」ポイント
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都内に本店または支店があること |
| 事業継続期間 | 当該本店または支店で実質的な事業活動を引き続き1年以上行っていること |
| 事業者区分 | 中小企業者(法人または個人事業者) |
| 商品の製造権 | 自らが企画・製造し、自社製品として単独で販売する権利を有していること |
| 分野要件 | 助成対象の4分野のいずれかに該当する製品・技術・サービスであること |
「1年以上の実質的な事業活動」で落ちるケース
創業直後の事業者にとって、この要件は最初のハードルになる。「登記から1年」ではなく「実質的な事業活動」が問われる点に注意が必要だ。たとえば、法人設立から6ヵ月は準備期間として売上がゼロだった場合、設立日ではなく営業開始日から起算される可能性がある。確定申告書や売上台帳で実態を示せるかどうかが判断の分かれ目になる。事業開始の証跡(取引先との契約書・初回請求書等)を手元に残しておくことを勧める。
「自らが企画・製造」で落ちるケース
他社から仕入れて転売するだけの事業者は対象外。問題になりやすいのは以下のような中間的なケースだ。
- OEM製品を自社ブランドで販売している(製造は完全外注)
- 製品の仕様書は自社で作成しているが、製造工程には一切関与していない
- 海外メーカーから輸入し、国内向けにローカライズのみ実施している
これらについては「企画への関与度」が審査で問われる可能性がある。公募要領に明文化されていない判断は、公社への事前相談で確認するのが最も確実な方法だ。相談先は問い合わせ先に記載した電話またはメールを使う。
助成対象商品の4分野と自社製品の当てはめ方
本制度の対象となる商品は以下の4分野に限られる。
- エネルギー:再生可能エネルギー・水素エネルギー関連
- 都市インフラ:建物・交通関連
- 資源・環境:廃棄物・プラスチック・食品ロス・フロン対策関連
- 気候変動適応:気候変動への適応に資する製品・技術・サービス
当てはめに迷うときの判断フロー
まず「この製品はCO2削減・廃棄物削減・再エネ活用のいずれかに直接貢献するか」を確認する。貢献が明確であれば上記4分野のどれかに当てはまる可能性が高い。貢献が間接的(例:省エネ製品を使うための周辺機器)な場合は、申請書の説明文でその因果関係を丁寧に示す必要がある。
「省エネに役立つから環境対応製品だ」という曖昧な位置づけでは、審査で分野該当性が問われることがある。公募要領の分類と照らし合わせ、根拠となる技術的特性を具体的に書き出しておくことを勧める。「この製品を使うことで、年間あたり何kgのCO2が削減されるか」という定量的な裏づけがあると説得力が増す。
4分野のいずれとも結びつかないと判断した場合は、同じ公社の「課題解決販路」への申請を検討する。両制度を横断して確認することで、申請機会を逃さずに済む。
助成上限額・補助率・対象経費の詳細
総助成上限額は150万円、補助率は対象経費の2/3以内。ただし経費区分ごとに個別上限が設定されており、合計が150万円に届いても個別上限で頭打ちになるケースがある。
| 経費区分 | 主な内訳 | 個別上限 |
|---|---|---|
| 展示会等参加費 | 出展小間料・資材費・輸送費(国内・海外・オンライン) | 個別上限なし |
| EC出店初期登録料 | ECプラットフォームへの初期登録費用 | 20万円 |
| サイト制作・改修費 | Webサイトの新規制作または改修費 | 20万円 |
| 印刷物制作費(販売促進費) | カタログ・チラシ等 | 50万円 |
| 動画制作費(販売促進費) | PR動画等 | 20万円 |
| 広告掲載費(販売促進費) | Web広告・紙媒体広告等 | 20万円 |
経費組み合わせの試算例
150万円の上限を最大活用するパターンの一例を示す。
| 経費区分 | 申請額(実費想定) | 補助対象額(2/3) | 個別上限 | 補助見込み額 |
|---|---|---|---|---|
| 展示会参加費 | 120万円 | 80万円 | なし | 80万円 |
| 印刷物制作費 | 75万円 | 50万円 | 50万円 | 50万円 |
| 動画制作費 | 30万円 | 20万円 | 20万円 | 20万円 |
| 合計 | 225万円 | 150万円 | ― | 150万円 |
この例では、展示会参加費の個別上限がないため、参加費の規模が大きいほど補助額を引き上げやすい。逆に、販売促進費(印刷・動画・広告)だけを合わせても個別上限の合計は最大90万円(50+20+20)で止まる。展示会参加費またはEC出店費・サイト制作費をセットで計上しないと、150万円の上限を活かしきれない設計になっている。
販売促進費の単独申請は不可
印刷物制作費・動画制作費・広告掲載費は「販売促進費」に分類される。この3区分だけを単独で申請することはできない。展示会参加費・EC出店初期登録料・サイト制作改修費のいずれかと必ず組み合わせる必要がある。「カタログだけ作りたい」「Web広告だけ打ちたい」という場合は本制度の対象外となるため、注意が必要だ。
助成対象期間とスケジュール管理
助成対象期間は令和8年11月1日から令和9年11月30日まで(最長1年1ヵ月)。採択後にこの期間内で発注・支払いを完結させるスケジュール管理が必要になる。
対象期間外の支出は補助対象から外れる。展示会の出展申込が期間前であっても、実際の参加と支払いが期間内に収まるかどうかを確認しておく必要がある。
特に展示会は人気のイベントほど申込が早期に締め切られる。採択が確定してから動き始めると希望の展示会に出展できない可能性があるため、採択を前提とした仮押さえをしておくかどうかを事前に検討しておくとよい(ただし採択前の正式発注は補助対象外になるリスクがある点を十分確認すること)。
GビズIDプライムアカウントの取得と管理
申請はJグランツ(国の電子申請システム)のみで受け付けており、Jグランツの利用にはGビズIDプライムアカウントが必要。
取得の流れ(概要)
- GビズIDホームページでアカウント申請フォームを入力する
- 申請書類(印鑑証明書等)を印刷・捺印して郵送する
- 事務局が審査を行う(法人は法人番号等で確認)
- 審査完了後にID・パスワードの設定案内が届く
- スマートフォンの認証アプリと連携してログイン設定を完了する
取得まで通常1〜2週間程度かかるとされているが、申請書類に不備があると差し戻しになりさらに時間がかかる。ヘルプデスク(0570-023-797、平日9:00〜17:00)への問い合わせも可能だが、混雑時は繋がりにくいため書類の不備は事前に防ぐことが重要だ。
募集開始を待ってからGビズIDを申請しても申請期限に間に合わないケースがある。次回募集への備えとして、今すぐGビズIDを取得しておくことを強く勧める。
| 確認事項 | 推奨タイミング |
|---|---|
| GビズIDの新規取得 | 今すぐ(募集開始前) |
| GビズIDの有効期限確認 | 募集開始の1ヵ月前 |
| 認証アプリの動作確認 | 申請の1週間前 |
GビズIDには有効期限があるため、取得後も定期的に確認しておくこと。有効期限が切れた状態ではJグランツへのログイン自体ができない。
申請書類の準備順序と実務タイムライン
書類は「揃えるのに時間がかかるもの」から先に着手する。
時間がかかる書類(早めに動く)
- GビズIDプライムアカウント:取得まで最長2〜3週間
- 登記簿謄本:法務局での発行に数日〜1週間(オンライン申請で短縮可能)
- 納税証明書:税務署での発行に数日(e-Taxからの取得は比較的早い)
比較的すぐ揃えられる書類
- 確定申告書:手元にあることが多いが、最新年度のものか確認する
- 商品説明資料:自社で作成するため、記載内容の整理に時間がかかる場合がある
- 助成事業プレゼン資料:任意提出だが、作成する場合は事前に構成を固める
申請準備のタイムライン例(募集期間が3週間の場合)
| 時期 | やること |
|---|---|
| 募集開始の1ヵ月前〜 | GビズID取得・有効期限確認。公社サイト確認。 |
| 募集開始直後(1〜3日目) | 公募要領の通読。対象要件の最終確認。 |
| 4〜7日目 | 登記簿謄本・納税証明書の取得手続き開始。申請書別紙の記入着手。 |
| 8〜14日目 | 商品説明資料・プレゼン資料の完成。書類の点検(チェックリスト使用)。 |
| 15〜18日目 | Jグランツへの入力と書類アップロード。不備の自己点検。 |
| 締切3日前まで | 余裕を持って申請完了。差し戻し対応の余地を確保する。 |
締切当日に申請しようとするのは最も危険なパターン。Jグランツのシステム障害や書類不備で期限を過ぎた場合、例外的な救済措置は期待できない。
提出前チェックリスト
資格要件の確認
- 東京都内に本店または支店の登記がある
- 当該拠点で実質的な事業活動を1年以上継続している(売上・確定申告で確認可能)
- 申請商品を自らが企画・製造し、自社製品として単独で販売している
- 申請商品が4分野(エネルギー・都市インフラ・資源環境・気候変動適応)のいずれかに該当する
経費・申請内容の確認
- 販売促進費(印刷・動画・広告)のみの単独申請になっていない
- 各経費区分の個別上限を超えていない
- 助成対象期間(令和8年11月1日〜令和9年11月30日)内に支払い完了できるスケジュールになっている
書類の確認
- GビズIDプライムアカウントが有効期限内である
- 登記簿謄本が有効期限内(発行後3ヵ月以内が目安)
- 納税証明書が公募要領の指定する年度のもの
- 確定申告書が最新年度のもの
- 商品説明資料に「自らが企画・製造」を示す記述がある
- 申請商品の4分野該当性が公募要領の分類に沿って説明されている
- スキャン書類が全ページ揃っており、文字が鮮明に読める
- 複数書類の住所・名称表記が一致している(登記簿謄本と確定申告書など)
差し戻しを防ぐための実務的な点検
筆者はIT導入補助金のITツール登録申請を支援した際、書類の不備で6回差し戻しを受けた経験がある。そのたびに「指摘が来てから直す」対応をとっていたが、対応期間が長期化した。その後は、提出前に公募要領のチェックリストで全必須項目を一括点検する手順に切り替えた。
差し戻しは申請内容の優劣ではなく、必須書類が揃っているか・記載欄が公募要領のフォーマットどおりになっているかという機械的な照合で発生することが多い。本制度でも同じ構造が起きうる。
特に「複数の書類が相互に整合しているか」は見落としやすい。たとえば、確定申告書の住所と登記簿謄本の住所が異なる場合(移転直後など)は、追加説明を求められる可能性がある。また、申請フォームに入力した事業者名と登記簿謄本の商号が微妙に異なるケース(株式会社の位置が前後逆など)も差し戻しの原因になりうる。複数書類の記載内容を突き合わせて確認することを勧める。
採択後に続くこと
補助金は採択で完結しない。助成金の交付を受けるには、助成対象期間(最長1年1ヵ月)内に事業を実施し、その後に実績報告を提出する必要がある。実績報告では支出した経費のエビデンスを証明書類として揃えることになる。
実績報告で揃える書類のイメージ
| 経費区分 | 必要なエビデンスの例 |
|---|---|
| 展示会参加費 | 出展申込書・請求書・振込明細・出展証明書 |
| EC出店初期登録料 | 申込完了画面のスクリーンショット・請求書・振込明細 |
| サイト制作費 | 業者との契約書・請求書・振込明細・完成後のサイトのスクリーンショット |
| 印刷物制作費 | 発注書・請求書・振込明細・印刷物の現物写真 |
| 動画制作費 | 発注書・請求書・振込明細・動画ファイルまたはURLのエビデンス |
| 広告掲載費 | 掲載証明(媒体発行)・請求書・振込明細 |
筆者は事業再構築補助金で採択後、実績報告の差し戻しが繰り返し発生し、採択から精算払の完了まで10ヵ月以上かかった経験がある。差し戻しの原因の多くは、経費の発生から支払いまでの証跡が一本の線で繋がらないことだった。
本制度の対象経費は比較的シンプルな支出が多いが、「誰に・いくら・何のために発注し、いつ支払ったか」を示す書類を、事業実施中から整理しておくことが報告作業の負荷を大きく左右する。助成対象期間が終了してから書類を掻き集める展開は避けたい。
書類管理の実務的な手順
- 発注のタイミングで発注書・契約書を取得し、専用フォルダに格納する
- 請求書が届いたら即座に同じフォルダに格納する
- 振込後に振込明細をダウンロード(ネットバンキング)またはスキャンして追加する
- 展示会・広告掲載等は完了後に実施の証拠(写真・出展証明・掲載証明)を取得する
- 各支出について「発注書→請求書→振込明細→実施証拠」の4点が揃っているか月次で確認する
令和9年度の募集について
2026年9月12日時点で、令和9年度の募集開始時期・申請期間は公表されていない。令和8年度の申請期間が2026年8月10日〜8月31日であったことは参考になるが、翌年度も同時期に募集が開始される保証はない。
次回の募集情報を取りこぼさないために、公社の公式ページをブックマークしておくか、公社のメルマガに登録しておくことを勧める。GビズIDの取得に時間がかかることを踏まえると、募集開始を待ってから動き始めるのでは申請期限に間に合わないケースもある。
今できる準備リスト(令和9年度に向けて)
- GビズIDプライムアカウントの取得(未取得の場合)または有効期限の確認
- 公社公式ページのブックマーク登録
- 公社メルマガへの登録
- 自社製品の4分野該当性の整理(どの分野で申請するかを事前に決めておく)
- 販促活動の計画立案(展示会出展候補・Webサイト改修の有無・広告出稿計画)
- 令和8年度の公募要領を保存・参照用に手元に残す
問い合わせ先
公益財団法人東京都中小企業振興公社 企画管理部 助成課「ゼロエミ販路」担当
- 住所:〒101-0022 東京都千代田区神田練塀町3-3 大東ビル2階
- TEL:03-3251-7895
- Email:shijo-josei@tokyo-kosha.or.jp
出典
- 公益財団法人東京都中小企業振興公社「ゼロエミッション推進に向けた事業転換支援事業(販路拡大助成)」: https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/zeroemi_hanro.html
よくある質問
Q. OEM製造で自社ブランドとして販売している場合は対象になりますか?
A. 「自らが企画・製造」の解釈は審査で問われる可能性があります。製造工程を外注していても仕様設計や企画に自社が主体的に関与していれば対象になり得ますが、判断が難しいケースは公社(TEL 03-3251-7895)への事前相談で確認することを強く勧めます。
Q. カタログ制作や動画制作の費用だけで申請できますか?
A. できません。印刷物制作費・動画制作費・広告掲載費は「販売促進費」に分類され、これらのみでの申請は制度上不可です。展示会参加費・EC出店初期登録料・サイト制作改修費のいずれかと必ず組み合わせて申請する必要があります。組み合わせなしで申請すると要件不備として差し戻しになります。
Q. GビズIDはいつ取得すればよいですか?
A. 今すぐ取得することを推奨します。GビズIDプライムアカウントの取得には通常1〜2週間かかり、書類不備があればさらに日数が延びます。募集開始後に取得申請を始めると締切に間に合わないリスクがあるため、次回募集の公表を待たずに準備しておくことが重要です。
Q. 令和9年度の公募はいつ始まりますか?
A. 2026年9月12日時点では未公表です。令和8年度の申請期間は2026年8月10日〜31日でしたが、翌年度も同時期に開始されるとは限りません。公社の公式ページをブックマークするか、公社のメルマガに登録して最新情報を逃さず把握することを勧めます。
あわせて読みたい
補助金は締切を過ぎたら翌年まで待つことになります。 締切の見落としを防ぐために、その月に締切を迎える制度だけを絞ってお届けします。登録は無料、いつでも解除できます。
